シックハウス症候群と似た症状を引き起こすのが、化学物質過敏症です。
シックハウス症候群は住居内での知覚症状が多いのに対し、化学物質過敏症はあらゆる環境において化学物質に過敏に反応し、排気ガスやタバコの煙など大気中の化学物質をはじめ、化粧品や洗剤などに含まれる微量の化学物質にも反応してしまいます。
1970年代、欧米ではオイルショックの影響などから、省エネルギーの必要性が叫ばれ、エアコン等の効きを良くするために、ビルの換気量を大幅に減らすようになりました。しかし、これが原因で、ビル内で働く人が次々と体の不調を訴えるという問題が起こりました。1980年代にこれが社会問題を巻き起こし、ビルにおける職場環境問題として多くの疫学調査や研究が実施されるようになりました。日本でも1980年にはJAS(日本農林規格)において、ホルムアルデヒドの放散量を規制する規格が制定されています。
「シックハウス症候群」とは「室内の空気が汚染されることによって引き起こされる様々な健康障害の総称」とされています。新築やリフォームした住宅に入居した人の、目がチカチカする、喉が痛い、めまいや吐き気、頭痛がする、などの症状が出る「シックハウス症候群」。その原因の一部は、建材や家具、日用品などから発散するホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンその他)などの揮発性の有機化合物と考えられています。
シックハウスの原因を考える時に最も重要なのは住環境ですが、それ以外にも様々な日用生活品や食生活などのライフスタイルが原因でシックハウス症候群になる場合もあります。建材や家具以外で、シックハウス症候群の原因となるものは・・・衣類、食品添加物(化学調味料)、洗剤、電化製品、化粧品など、本当に多岐にわたっています。挙げたもののほとんどが生活するうえで必要不可欠なものですが、生活スタイル(日用品などの選択)によって摂取する化学物質は大きく変わります。
住宅に発生する結露もシックハウスの原因の一つにあげられます。問題となるのは、結露によって増えるカビとダニです。カビが飛ばす胞子や、カビをエサにするダニが繁殖することで、抜け殻やフンが空気中に飛び散り、シックハウス症候群を引き起こす原因となります。また、カビやダニが増殖すると、防カビ剤や防ダニ剤を使う頻度が高くなり、これらに化学物質がたくさん含まれている場合があります。結露は、建物を傷め、シックハウス症候群の原因にもなりうる、まさに百害あって一利もない現象です。
ホルムアルデヒド放散量 | ||
---|---|---|
表示区分 | 発散速度 | 相当デジケータ量* |
F☆☆☆☆ | 5μg/m2h | 0.3mg /リットル以下 |
F☆☆☆ | 5~20μg/m2h | 0.5mg /リットル以下 |
F☆☆ | 20~120μg/m2h | 1.5mg /リットル以下 |
ただし、発散速度は100μ/m3の値 |