希望通りの広さの土地を購入したのに、法規制によりイメージ通りの大きさ・広さの家を建てられなかったというケースは、意外と少なくありません。不動産物件の購入を検討している場合は、土地に関する規制や法律上の制限事項を把握しておくと安心でしょう。
そこで今回は、土地を購入して家を建てる際の規制や注意点についてご紹介します。
土地を購入する前に注意したい点
ここに家を建てたい!という希望の土地が決まったら、土地が所在する自治体の役所に出向く、もしくは自治体のホームページで、該当する地域の「都市計画図」を確認しましょう。
家はどこにでも自由に建てて良いわけではありません。建てて良い場所とそうでない場所が都市計画によって決まっています。
都市計画図を参照し、希望する土地が以下のいずれの地域にあるかを確かめてください。
- 【市街化区域】
- 今後も継続的に都市開発を進める予定がされている区域を指します。
- 【市街化調整区域】
- 今後の都市開発が予定されていない区域を指します。
- 【非線引区域】
- 「市街化区域」・「市街化調整区域」の区域区分が定められていない都市計画区域。
もし検討中の土地が「市街化調整区域」に該当する場合は、基本的には新規で住宅を建築することが認められていないため、候補地を変える必要があります。
また、都市計画図を確認することで、これから建てる家の種別や構造、高さなどに制限が設けられているかどうかも分かります。
もし、候補地に建物に関する制限事項が設けられている場合は、その規制にしたがって新築する建物の建築プランを立てなければなりません。
住宅会社に家づくりを相談した場合には、住宅会社は候補地に適用される法規制を調べた上でプランニングしてくれますが、どんな法規制があるのか予めポイントを押さえておきましょう。
家づくりに関する法規制を知ろう
家を建てる際には、さまざまな法律を守らなければなりません。家づくりに関係する法律の代表的なものは「建築基準法」と「都市計画法」ですが、その他にも「都道府県建築安全条例」に関する取り決めがあれば、その条例を守る必要があります。
ここでは、土地に関係するさまざまな法規制の概要について解説します。
建ぺい率
建ぺい率とは、「敷地全体面積の何割を建物の面積に充てられるか」を示しています。例えば、建ぺい率が55%の場合、100平方メートルの土地に建てられる1階部分の面積(建築面積)の上限は「55平方メートル」で、それ以上広い面積で家を建てることは法令違反となります。
容積率
容積率は「敷地に建てることが可能な建物の延べ床面積を割合で示したもの」です。つまり、すべての床面積の合計が容積率となります。
例えば、容積率80%と定められている120平方メートルの土地に2階建ての家を建てる場合、1階+2階の床面積を合わせて「96平方メートル」が上限です。
斜線制限
建物の高さに関する制限で、主に隣接している土地の日照や風通しを遮らないために配慮されています。
数ある斜線制限の中でも、住宅の場合は「北側斜線制限」と「道路斜線制限」が深く関わってきます。
北側斜線制限
北側に面する隣地や道路の日照悪化を防ぐための建物の高さ制限が、北側斜線制限です。「第1種・第2種低層住居専用地域」および「第1種・第2種中高層住居専用地域」に適用され、その他の地域では適用されません。
北側斜線制限が適用されている場合は、家を建てる高さに制限があります。
道路斜線制限
道路斜線制限とは、建物に面する道路の日照や風通しを守るための高さ制限のこと。定められた斜線内に建物を納める必要があります。道路斜線制限はほとんどの地域で適用されるでしょう。
道路に関する規制
接道義務
住宅を建築するには、幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していることが必要であるという規制です。
なお、接する道路の幅員が4m未満の場合は、道幅の中央から2m離れた位置が敷地との境界線とみなされます。
私道負担
敷地内に私道が含まれている場合、その私道部分を私道負担といいます。私道負担の部分には、住宅を建てることはできません。
トラブルを防ぐため、私道負担がある場合は土地購入の前に不動産会社や土地の売り主からきちんと説明を受ける必要があります。
おわりに
今回は、土地を購入して家を建てる場合に覚えておきたい、家づくりや土地に関する法規制について概要をご紹介しました。今回概要をご紹介した法規制にも、緩和される条件があったり、今回ご紹介していない他の法令の制限を受けたりする場合があります。
「どのくらいの広さの家を建てたいか」の構想がまとまったら、それに見合う面積で土地を探すだけでなく、各土地に規定された建ぺい率や容積率、高さや道路の規制についても必ず事前に確認しておきましょう。