赤ちゃんが泣く原因には、様々な事が考えられます。赤ちゃんの体調や授乳、オムツ交換だけでなく、睡眠環境が原因となることもあります。この記事では育児でパパママが知っておくべき赤ちゃんの夜泣きの原因と対策を紹介しています。
夜泣きとは?いつまで続く?
夜になると泣き出す赤ちゃん。なかなか泣き止まない夜泣きが毎日続くと、お世話をするママパパも寝不足になるなど大変です。赤ちゃんの夜泣きとはどのようなものか、いつまで続くものなのでしょうか。
赤ちゃんの夜泣きとは?
新生児期の赤ちゃんは、まだ体内時計が出来ておらず生活リズムが整っていないので、空腹などを訴えたりして、夜中にも数時間おきに泣くことが多いです。
ですが、空腹やおむつの濡れなどの不快感が解消されると泣き止んだり、新生児期が過ぎてくると、だんだんと夜中に泣くことは少なくなります。このように、原因が明らかで泣いている場合は、一般的には夜泣きとは考えません。
夜泣きとは、空腹やおむつの濡れなどの不快感や部屋の環境など、明確な原因が見当たらないのに、夜中に突然激しく泣くことを指します。
新生児期を過ぎて、夜中に何度も泣いて、なかなか泣きなやまない状態が続くのです。
夜泣きはいつからいつまで?
夜泣きは、昼と夜の区別がつくようになる、乳児期の生後半年ごろから始まることが多いといわれています。新生児期を過ぎて、まとめて寝るようになったと思ったのに、夜中に急に泣き出すようになり、あれ?とおもったら、それは夜泣きでしょう。
夜泣きは、生後6~11ヶ月に最も多く見られます。1歳を過ぎると急激に改善して、3歳過ぎにはほとんどないとされています[*1]。
また、冬の季節に多くなるという調査も報告されています[*2]。
しかし、夜泣きにも個人差があります。2歳を過ぎても続くこともありますし、終わったと思ったのに、再発することもあります。
夜泣きの原因とは?
夜泣きの原因は定かではありませんが、以下のように考えられています。
生活リズムが未成熟なため
赤ちゃんは睡眠と覚醒のリズムが出来ておらず、生活リズムが未成熟な為、夜泣きをすると考えられています。
月齢が上がるとともに、長く眠れるようになっていきますが、生活リズムが出来上がるまでは、昼夜逆転生活のようになったり、いわゆるレム睡眠という眠りの浅い時間帯が多い状態になったりするのです。
日中の刺激を脳が処理しきれないため
昼間にいつも違う環境で過ごしたり、刺激を受けたり興奮したりすると、日中の刺激を脳が処理しきれずに、夜泣きをすることがあります。
人間の脳は寝ている間に日中の記憶を整理します。赤ちゃんの脳はとても早いスピードで発達しますが、日中の刺激が多かったりすると、処理しきれずに覚醒して夜泣きにつながると考えられています。
脳の発達がアンバランスなため
赤ちゃんの脳は、本能的・衝動的な要求を司る大脳辺縁系が先に発達し、抑制的・理性的といった我慢などを司る前頭葉が遅れて発達します。
このことから、赤ちゃんの脳はまだまだ発達がアンバランスなために、夜泣きの原因につながると考えられています。
しかし、赤ちゃんが夜泣きをしないように夜泣きの原因を減らそうと、刺激や興奮を避けておとなしく過ごそうとするのは止めておいた方が良いでしょう。赤ちゃんが成長するうえで適度の刺激やストレスは必要なものです。
また、夜泣きはママ・パパの向かい合い方や接し方によって起こるものでもないので、夜泣きが落ち着かないからといって、自分を責めたり自信を失ったりする必要もありません。
夜泣きの月齢別の原因と対処法
生後1~6ヶ月
新生児期の赤ちゃんは昼夜の区別がなく、短いサイクルで泣くことと寝ることを繰返します。夜中に泣き出した場合には、おむつ替えでスッキリして、ミルクで空腹が満たされると落ち着く場合が多いようです。
生後6ヶ月~1歳
視力が徐々に発達してくる生後6ヶ月をすぎると、赤ちゃんは顔の目立つ部分で表情の判断して人の表情や動きを認識するようになるとされています。この頃は、日中の刺激の影響での夜泣きが増えてくる時期です。日中は起きて夜に眠る体内時計がまだ未発達なので、睡眠リズムが整っていないことも夜泣きの原因のひとつと考えられますので、生活リズムをつくることが大切となります。
また、この時期は離乳食をとるようになる時期でもあるので、しっかり食事をとれていないことも夜泣きの要因の一つと考えられます。
1~2歳
動きが活発にになり、起きている時に刺激を受けたり興奮したりすると夜泣きにつながることがあります。夜にぐっすりと眠れるように日中に体をいっぱい動かして運動量を増やすと良いでしょう。
夜泣きを減らすための対策とは?
夜泣きは、成長段階の一つで個人差も大きいものです。しかし、夜泣きが続くとお世話をするママパパも睡眠不足や体調が悪くなったり、不安や悩みから育児ストレスにつながる可能性があります。
赤ちゃんの夜泣きへの対策ポイントを知っておきましょう。
生活リズムを整える
生活リズムを意識して、なるべく規則正しい生活を過ごすようにしましょう。
朝も決まった時間に起こし、お昼寝の時間を決めるのも良いでしょう。
睡眠のタイミングだけでなく、お風呂や食事も一定の時間にするようにすると、赤ちゃんの生活リズムも早く整い始め、夜泣きが減ったりする可能性があります。
日中に戸外で遊ぶ・昼間の運動量
お昼寝が長かったり、昼間の運動量が少なかったりすると、なかなか寝つけなかったり睡眠が浅くなってしまい、夜泣きにつながることがあります。
昼間は日光をしっかり浴びて、しっかり体を動かすと、夜はぐっすり眠ることができるでしょう。
夜泣きの時期は、お世話をするママパパも生活リズムが不規則で、朝起きるのも遅くなることもあるでしょう。
そんなときは、朝カーテンを開けて、部屋の中で日光を浴びるようにするのもおすすめです。
入眠儀式を決める
入眠儀式とは、寝る前にいつも決まったことをして、眠りに入る合図にすることです。
毎日同じことを繰り返すことで、赤ちゃん自身が眠る時間であることを認識することができ、落ち着いて眠ることにつながります。自分で眠ろうと意識する習慣がつくと、寝かしつけもスムーズになり、夜泣きの減りにもつながると考えられています。
- 絵本を読む
- 子守歌をうたう
- ふれあい遊びをする
入眠までのリズムをつくってあげて、安心して眠ることができる環境を整えましょう。
赤ちゃん自身に自分で眠ろうとする習慣がつくと、夜泣きになったとしても自分で上手に再び眠ることができるようになっていくでしょう。
睡眠環境の改善
赤ちゃんは、眠りが浅くなった時に入眠時と違うことに驚いて夜泣きすることがあります。
添い乳や抱っこで寝かしつけをしているのであれば、布団やベットなど寝具で直接寝られるようにしてみましょう。
また、部屋の明るさや温度を、赤ちゃんが眠るのに最適な環境に整えるようにしましょう。
パジャマやブランケットなど、赤ちゃんの肌に直接触れるものを、心地良いものにしてあげるのもおすすめです。
泣き止まない時の対処法。放置は?
授乳、おむつ替え、抱っこしてトントンするなどを試してみても、原因がわからず、泣き止まない事もあります。原因をあまり追求しすぎないで、対処する方法を紹介します。
泣きやまない時のルールをあらかじめ決めておく
ママのワンオペになると肉体的にも・精神的にも負担が大きくなります。一人ではなく家族と一緒に乗り越えることが大事です。泣き止まない大変さをお父さんと共有できれば、お母さんの精神的な負担は軽くなります。
あらかじめ夜泣きの時の役割分担を決めておけば、対応する際のハードルを下げる事ができます。
例えば、パパが1時間だけドライブや外に連れて行ってくれ、ママが寝れるようにするなどのルールを決めておけば、頼みやすくなりますし、ママの負担を減らせます。また、赤ちゃんも車の小さな揺れで眠りに落ちやすくなるメリットもあります。
親がストレスや疲れでまいってしまったり、ひどい場合はうつ状態や“育児ノイローゼ”になってしまうこともあります。親が夜泣きによってストレスを溜めたり、精神的な不調にならないことも大切なことです。
外に出てみる
赤ちゃんが泣き止まずにイライラが募ってしまったときには、まず抱っこひもなどで外に出てみると良いでしょう。屋外の方が部屋の中よりは泣き声を大きく感じないので、閉塞感から解放されます。また、それだけで赤ちゃんが泣き止むこともあります。
泣いている赤ちゃんを抱っこして歩くと、「輸送反応」の効果で泣きやんでおとなしくなるかもしれません。「輸送反応」とは哺乳類の子どもが親に運ばれるときに、泣きやんでおとなしくなる反応で生存本能の一つとされています。
赤ちゃんから離れてみる
赤ちゃんを安全なところに仰向けに寝かせ、目の届く範囲のところで10~15分くらいの休憩をとりましょう。イライラしたらちょっと赤ちゃんから離れてリフレッシュすることも良いでしょう。
赤ちゃんから少し離れてお茶を飲んだり、一休みしても良いでしょう。赤ちゃんは泣いていても大丈夫ですし、親がリフレッシュできれば、「また向き合おう」という気持ちや気力も回復します。泣き止むまでずっと、放置するという訳ではありません。
すぐに起きて対応しないと近所の迷惑になるのではないかと心配になるかもしれませんが、大人のフラストレーションのケアもしっかり行っていきましょう。
赤ちゃんが泣き止まない時のNG行為
泣きやませるために激しく揺さぶったり口をふさいだりしてはいけません!
赤ちゃんの脳は柔らかく、ダメージを受けやすです。頭の中はとても脆いので、激しく揺さぶられると重大な後遺症が残る可能性があります。
夜泣きと夜間授乳は関係あるの?
毎晩起きる度に授乳やミルクをあげていると、ママも大変です。夜間断乳すると良く寝るようになるという話もよく聞きますよね。ここでは、夜泣きと夜間授乳の関係や夜間授乳のポイントについて解説します。
①夜間授乳が夜泣きにつながる理由
夜間授乳が夜泣きにつながる理由として、授乳が入眠時の癖になっている可能性が考えられます。
赤ちゃんが泣き出す度に授乳やミルクをあげている場合、お腹が満たされて泣き止むのではなく、授乳することにより、落ち着いて泣き止んでいるだけの可能性があります。
この場合、授乳をすることが入眠の際の癖となっているので、眠りが浅くなる度に授乳を必要として泣き出すようになり、夜泣きにつながると考えられます。
②授乳間隔の頻度
夜間授乳は、あくまでも、日中で足りない分を夜に補うものと考えると良いでしょう。夜間授乳が昼間と同じ間隔で必要なのは、母乳が軌道にのるまでの生後2ヵ月頃までが目安です。生後3ヵ月ごろには体内時計が整ってきて、昼間は栄養摂取や運動、夜間は休息というリズムがついてきます。
4ヵ月を過ぎても、昼間と同じ間隔で夜間授乳をしている場合は、回数をコントロールして、昼夜の区別をつけていくと、親子ともに睡眠時間をとることができるようになるでしょう。
離乳食が始まる生後6ヵ月以降は、まだお腹が空いている場合には母乳やミルクをあげて、離乳食で栄養がとれるようになってからは、夜間はカロリーのない白湯や麦茶に飲み物は変えていきましょう。
③夜間断乳する方法
夜ご飯をしっかり食べさせる
離乳食が始まってしっかりご飯を食べるようになると、自然と授乳の回数や量が少なくなっていくことが多いです。その流れで夜間授乳の回数も減り、夜間断乳につながります。
母乳・ミルクでの寝かしつけをやめる
授乳で寝かしつけをしていた場合は、母乳・ミルク以外で寝かしつけができるように変えてみましょう。夜赤ちゃんの目が覚めた時に、寝入るときと違う状況に驚いて夜泣きにつながることがあります。
少しずつでも、トントンしたり他のスキンシップを増やして、布団の上で寝られるようにしていきましょう。
日中におもいっきり遊ばせる
日中たくさん遊ぶようにしましょう。たくさん遊んでたくさん寝るという生活リズムができてきたら、夜もぐっすり眠るようになるでしょう。
家族と一緒に乗り越えよう!
赤ちゃんの夜泣きには、様々な原因が考えられますが、適切な対策を行うことで改善できます。
夜泣きによって、親も睡眠不足やストレスが溜まったり、イライラしないように家族と協力しながら一緒に乗り越えることが大事です。赤ちゃんと共に健やかに過ごしましょう。
【参考文献】
[*1]「子どもの心の健康問題 ハンドブック」P124
[*2] 「乳児夜泣きの要因分析 (1) 」日本看護研究学会雑誌 4巻 (1981) 2号
厚生労働省:「赤ちゃんが泣き止まない」
佐久医師会:「赤ちゃんが泣き止まない」