気温が上がってくると普段よりも気になる水分補給。
大人にとっては身近な麦茶も、赤ちゃんに与えるにはどうしたらよいの?と心配な方に向けて、赤ちゃんに麦茶をあげてもよいタイミングや、麦茶を与えるメリットなど気になることについてご紹介していきます。
赤ちゃんに麦茶はいつから?
産まれたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクが栄養の中心です。生後5か月~6か月になると少しずつ、食事という新しい体験を始める時期になります。
生後1ヶ月頃からと表示されている麦茶の商品も市販されていますが、一般的にそれまでは、水分補給も母乳やミルクの授乳のみで問題ないとされています。
そのため、離乳食を開始して、少しずつ母乳やミルク以外の物に慣れてきて、飲みこむことを覚えさせるタイミングで、水分補給として麦茶を与えるのが良いでしょう。
麦茶を赤ちゃんに与えるメリット
ミネラル補給として
大人が思っているよりも、赤ちゃんはたくさん汗をかいています。
汗と一緒にミネラルも失われるため、ミネラルの補給は欠かせません。
麦茶には、ミネラルが豊富に含まれているので、夏や暑い時期の水分補給に最適です。
虫歯予防にも役立つ
離乳食を食べた後は、口内に食べかすなどが残り、歯に汚れが付着しています。
麦茶を飲むことで、歯に付いた汚れをサッと流すことができるのです。
しかし、麦茶を飲んでも完璧に汚れが落ちるわけではないので、歯磨きケアは欠かせません。
腸内環境を整える
麦茶には胃の粘膜を保護したり、炎症を抑える作用があることがわかっています。
麦茶の原料である大麦に食物繊維が含まれているため、赤ちゃんの未熟な胃腸を守る整腸作用にもなるのです。
また小さいころから麦茶を飲むことによって、健康的な飲み物に親しむきっかけ作りにも最適です。
子どもの脳の発育などに影響を与えるとされる「カフェイン」も含まれていないので、身体にも優しく安心して与えられます。
赤ちゃん用麦茶の作り方と保存方法
ベビー用の麦茶もさまざまな種類が売られています。作りやすさや用途に応じて、安心して与えられる方法を選んでみてください。
ティーバッグタイプ(まとめて作りたい方向け)
ティーバッグタイプには、煮出し用と水出し用の二種類があります。
初めて麦茶を飲む赤ちゃんには、胃腸の負担を考えて煮出し用のものを使うのがおすすめです。
水道水を用いて作る時は、残留塩素の除去などを考え10分程度沸騰させた後、麦茶パックを入れて3~5分煮出して火を止め、ティーバッグを取り出して冷まします。
ティーバッグを入れてからの煮出し時間で、麦茶の濃さを調整することも可能です。
家族で麦茶を飲むなど方は一度にたくさん作れるので、赤ちゃんの分だけ沸騰させた湯冷まし(白湯)などを使って薄めると効率的です。
ウォーターサーバーやペットボトルの水、浄水器を通した水などを使うと煮出す時間を短縮できるだけでなく、水出し用ティーバッグでも安心して使うことができます。
粉末タイプ(少量ずつ作りたい方向け)
水やお湯に溶かして使う粉末タイプの麦茶もあります。
一回に出来上がる量は少ないですが、使い切れるため衛生的に安心です。
赤ちゃんの飲む様子を見ながら、量を調整することができるので、初めて与える時に最適です。
粉末が冷たい水に溶けるタイプの商品も多いですが、水道水を使う場合は一度沸騰させた湯冷ましを使うのが良いでしょう。
ペットボトルや紙パックタイプ(外出時に最適)
水やお湯で薄める手間がなく、赤ちゃんにすぐに与えることができます。そのため、お出掛けや災害時にも便利です。
未開封であれば、常温保存もできるので赤ちゃんが飲みなれてきたらストックしておくのも良いですね。
赤ちゃんの麦茶の濃さについて
赤ちゃんが飲む麦茶は大人用のものと分けるべきなの?と思う方もいるかもしれません。
基本的には、赤ちゃん用だから…と麦茶を薄めなくても大丈夫です。
しかし、初めて麦茶を飲む赤ちゃんにとっては、大人用と同じ濃さだと、苦みを感じることが多く、薄めた麦茶のほうが飲みやすいことが多いです。
慣れるまでは、大人が味見をして、苦みがなく飲みやすい程度に薄めてあげてください。
特に何倍という決まりはなく、赤ちゃんの反応を見て濃さを調整してくだい。
※薄める時はお湯を使うと、飲みやすい温度になるのでおすすめです
大人と同じ麦茶はいつからOK?
赤ちゃんの味覚には個人差がありますので、最初から大人と同じ麦茶でも普通に飲める子もいれば、苦手な子もいます。
目安としては1歳~1歳半頃には大人と同じ麦茶を与えることが多いです。
赤ちゃん用の麦茶だから、使っている麦が違うということではありません。
※乳児用規格適用とされている商品は、放射性物質の検査基準が赤ちゃん用を基準としていて、一般用の基準値より低いことを示しています
麦茶の保存方法
麦茶は緑茶などに含まれるカテキンのような、抗菌作用のある成分が含まれていないため、とても傷みやすいお茶です。
赤ちゃん用に限らず大人が飲む場合でも冷蔵庫で保管してください。
麦茶の保存容器は清潔なものを使うようにしましょう。
プラスチックの容器は、細かい傷がついて細菌が繁殖しやすくなるので、衛生的に心配な方はガラスポットがおすすめです。
ペットボトルや紙パックの麦茶も開封後は必ず冷蔵庫に保管して、その日のうちに飲み切るようにしましょう。
一般的に麦茶は冷蔵保存だと、作ってから2日ほどで飲み切るのが良いとされています。
麦茶は冷凍保存も可能です。出汁などと同様に製氷皿に麦茶を入れて冷凍しておくと、使いたい量だけ使うことができるので便利です。冷凍した麦茶は一週間程度で使い切るようにしましょう。
冷凍した麦茶を使う際は、人肌程度の温度になるように調整することを忘れずに!解凍する量によっても異なりますが、600wの電子レンジで20秒~30秒を目安に温めてみてください。
麦茶の赤ちゃんへの飲ませ方
初めて赤ちゃんに麦茶を飲ませる時は、離乳食と同じようにまずはスプーン一口の量から与えてみましょう。スプーンにすくって、ちょっと口に含ませる程度でOK。
小さなおちょこなどの容器に直接口を付けて、唇で取り込むように飲んでみるのも良いかもしれません。
赤ちゃんの体調に変化がなく、嫌がる様子がなければ翌日は二口、翌々日は三口といったように、少しずつ飲ませてあげる量を増やしていきましょう。
慣れてきたら赤ちゃん用のマグやコップに入れて飲ませてみましょう。
さらに、ストローで飲むことができるように練習していくと良いでしょう。
哺乳瓶の飲み口と似ているスパウトマグからはじめて、ストローに慣れさせる練習をしてから、赤ちゃん用の紙パックタイプのストローやストローマグで飲めるように練習していきましょう。
※離乳食を始めたばかりの赤ちゃんは余計な水分で、お腹がいっぱいにならないように注意してください。
熱すぎたり冷たすぎる麦茶は、赤ちゃんの胃腸に負担をかけてしまうので、人肌程度の温度に調節してから与えてください。
一日の中で麦茶を飲ませるタイミング
- 朝の起床後、お昼寝後
- お風呂上り
- 食事の前後、食事中
- 外遊びの後
- トイレの後
- 冷暖房の使用時
上記などのタイミングで飲ませるのがおすすめです。
いずれも汗をかいた後や空気が乾燥していたり、身体にとって水分補給が必要な時が飲ませやすいでしょう。
大人よりもたくさん汗をかくので、大人が水分補給するタイミングよりもこまめに水分補給を考え、その際に麦茶を取り入れてみると自然に麦茶に慣れていくことができると思います。
赤ちゃんの髪の毛が湿っている、身体が熱いと感じた時には水分とミネラルを補給してあげましょう。
麦茶を与える際の注意点
カフェインやタンニンが含まれていないか
赤ちゃんにとっては大きな刺激になる成分のため注意が必要です。
麦茶にはカフェインやタンニンは含まれていません[*1]。
ノンカフェインの麦茶は赤ちゃんから大人まで、妊婦さんにも安心な飲み物ですが、「むぎ茶」のブレンド茶ではないか念のため確認してからの購入が安心です。
赤ちゃんに適した濃さになっているか
消化器官が未熟な赤ちゃんにとって、濃すぎる麦茶は負担が大きいものです。
大人が味の濃さをチェックして、赤ちゃんの好みの濃さの麦茶を心がけてあげてください。
アレルギー症状がでていないか
麦茶でもアレルギー症状を起こすリスクがありますので、初めて与えるときには少量ずつ与えて様子をみてください。
何か気になることがあったときでも安心できるように、かかりつけ医の診療時間内だとより安心です。
嫌がったら無理やり飲ませない
味覚は個人差が大きいので、最初から抵抗なく飲める子、全く飲まなかったり嫌がったりと反応はそれぞれです。
赤ちゃんがぐずってしまった時は、無理に飲ませることはしないで、ミルクや白湯などで水分補給できていれば大丈夫です。
同じものでも気分によって、飲むこともあるので、赤ちゃんのペースを尊重していきましょう。
赤ちゃんの体調不良の時を避ける
赤ちゃんが下痢をしている時は、脱水症状になりやすいため、水分補給は欠かせません。
その時に麦茶を与えても良いのですが、栄養も一緒に排出されてしまうので、母乳やミルクなどの栄養補給を優先するほうがよいので体調の良い時に与えるほうが良いでしょう。
麦茶はアレルギーの心配はある?
麦茶は大麦から作られているので、特定原材料7品目の小麦との関係が気になりますが、小麦アレルギーとの直接的な関係はないとされています。
大麦と小麦では、タンパク質が異なる
食物アレルギーは主に卵や乳、蕎麦、小麦などに含まれるタンパク質を異物と認識してしまうことで、アレルギー反応が起きます。しかし、小麦のタンパク質と大麦のタンパク質では成分が異なります。
麦茶に含まれるタンパク質は僅か
麦茶はもち麦のように大麦の種子を食べる訳ではないので、タンパク質の含有量はごく微量となります。
しかし、アレルギー反応が必ず起こらないということではありません。
何らかのアレルギーがある赤ちゃんなど、心配がある時はかかりつけ医に相談してから与えるようにしましょう。
初めて麦茶をあげる時は、スプーンひとさじ程度の少量から、日中の病院の診療時間内にすると安心です。
赤ちゃんが麦茶を飲まない原因は?
何で赤ちゃんが麦茶を飲まないかの理由としてはどんなことが考えられるでしょうか。麦茶を飲まない原因をご紹介します。
味が苦手
赤ちゃんが主に栄養を補給している母乳やミルクには、甘味があって赤ちゃんが好む味であるため、抵抗なく飲んでくれます。
一方で、麦茶は苦みも含まれていてることから味に馴染みがなく慣れていないため飲んでくれないことがあります。
水分が足りている
離乳食を始めるまでは、母乳やミルクで水分補給を行っており、基本的に母乳やミルクの授乳で補えています。
また、大人よりも小さな胃ですので、麦茶を飲む量の分が既に水分でいっぱいになっていることも考えられます。
容器が苦手
麦茶を飲むときに使っている容器が、口の形に合っていない、使い慣れていないということが原因で麦茶を飲むことを嫌がっていることも考えられます。
麦茶を飲まない時の対策とは?
水分補給ができる飲み物の種類を増やしたい、麦茶に親しんで欲しいなどの理由から麦茶を与えたい時にやってみて欲しい対処法を紹介します。
お茶の味を変えてみる
赤ちゃんにお茶を与える際の濃さが、好みでないことが考えられます。
薄めすぎや濃くしすぎている可能性がありますので、反応を見ながら味を変えてみると飲んでくれる可能性があります。
飲ませ方を変える
日頃から哺乳瓶を使ってミルクなどを飲んでいる場合には、飲みなれている容器に麦茶を入れてみるのもおすすめです。
それでも飲まない場合は、スプーン、スパウトマグ、ストローマグ、コップなど赤ちゃんの成長などに合わせて様々な容器を試してみると良いでしょう。
白湯に変えてみる
お茶の味を変えたり、飲ませ方を変えてみてもなかなか飲まない場合は、白湯を与えてみると原因がはっきりしてくる可能性があるので、一度試してみると良いかもしれません。
また飲ませるタイミングを、水分が失われているタイミングやお腹が減っているタイミングなどを意識してみると比較的スムーズに飲んでくれると思います。
【麦茶】家族みんなの優れもの!
ノンカフェインの麦茶は、赤ちゃんの水分補給にピッタリ。しかも家族みんなで親しめる優れものです。
赤ちゃんのペースに合わせて、健康面でも安心な麦茶をぜひ取り入れてみてください。
【参考文献】
[*1]「茶やコーヒー等の嗜好飲料中のタンニン, カフェインの含有量」(公益社団法人 福岡県薬剤師会)