家を建てる際には、さまざまな法令を守らなければなりません。適用される法令によっては家を建てる条件にも影響があるため、土地選びの段階で法規制についてしっかりと確認する必要があります。
「建ぺい率」は家を建てる際に重要となる法規制ですが、条件によっては緩和されるケースもあります。今回の記事では建ぺい率の計算方法や緩和の条件についてご紹介します。
建ぺい率の上限が設けられる理由
建ぺい率とは、敷地面積に対して建物の建築面積が占める割合を指します。
敷地内に一定の空間を確保することで日当たりや風通しが遮られることを避ける、または近隣で火災が起きた際にもらい火を防ぐことなどが、建ぺい率の上限を定めている主な目的です。
建ぺい率は、基本的には都市計画によって指定された用途地域ごとに上限が定められています。ただし、地区計画によりさらに細かな規定がある場合もあるため注意してください。
建ぺい率の計算方法
建ぺい率は、以下の計算方法で算出できます。
建ぺい率=建築面積÷敷地面積
建ぺい率の上限が分かれば、希望する建物の最大面積を調べることができます。
例1:120平方メートルの土地の建ぺい率が60%の場合
120平方メートル×60%=最大面積72平方メートルの建物が建築可能
また、1つの土地が複数の用途地域にまたがっており、それぞれの建ぺい率の上限が異なるケースもまれにあります。その場合は計算式が少し複雑になりますが、考え方は同じです。
例2:120平方メートルの土地の90平方メートルが建ぺい率40%、30平方メートルが建ぺい率60%の場合
90平方メートル×40%+30平方メートル×60%=最大面積54平方メートルの建物が建築可能
角地緩和とは?建ぺい率が緩和される条件
建ぺい率は建築基準法第53条に規定されています。同条の3項2号に街区の角地又はこれに準ずる敷地で「特定行政庁が指定するもの」の場合に、建ぺい率の上限が緩和される「角地緩和」と呼ばれる条件が適用されるケースがあります。
「角地緩和」が当てはまる土地は、主に以下の3つです。
街区の角にある敷地
土地が角地(道の交差点に面した場所)にあたる場合は、建ぺい率の上限が緩和されることがあります(10%加算)。
ただし、特定行政庁ごとに街区の角地に指定されている条件に適合する場合に限られるため、角地であるからといって必ず緩和されるとは限りません。
道路にはさまれた土地
交差点に面しているという意味での「角地」ではありませんが、土地の両側に道路が面している場合は角地扱いとなり、建ぺい率の上限が緩和されることがあります(10%加算)。ただしこのケースも、特定行政庁ごとに指定されている場合に限られます。
公園、広場、河川などに接する土地
敷地が面している道路が1本だけでも、公園や広場、河川などに別途面している土地である場合は、角地と同等とみなされ建ぺい率の上限が緩和されることがあります(10%加算)。ただし、他のケースと同じく特定行政庁ごとに指定がある場合に当てはまります。
加算される建ぺい率や緩和条件の詳細は、各地方自治体によって異なります。今回ご紹介した条件に当てはまっても、自治体の規定や判断によってはこの通りに緩和されるとは限りません。詳しくは、土地が所在する自治体の建築指導課に確認しましょう。
おわりに
今回は、家を建てる際に設けられている「建ぺい率」の上限について、また、その算出方法や例外的なケースについてご紹介しました。しかし、「この土地の建ぺい率は何%だから、何平方メートルの建物まで大丈夫」と高を括るのは禁物です。他の法令の制限などで、実はもっと狭い家しか建たない土地だったと後で分かれば、後悔も大きくなるでしょう。まずは土地購入計画の段階から、正確なリサーチを行い家づくりの計画を立てることが重要です。