注文住宅で間取りを考えていたら、思った以上に予算オーバーしてしまったという方は多いです。その場合には、理想と現実の両方を踏まえながら妥協できる部分を見つけていく必要があります。しかし、予算オーバーした分を、やみくもに削っていくのは危険です。例えば、住宅の性能や外壁、屋根、外構、セキュリティなどを削ると、のちのち後悔してしまうこともあります。
そこでこの記事では、予算オーバーをしてしまった場合に、削れるところと妥協しない方がいいところを解説していきます。
新築で予算オーバーしてしまう原因
削るところを考える前に、まずは予算オーバーしてしまう原因を考えていきましょう。新築で予算オーバーする原因は、主に以下4点が考えられます。
1.優先順位が決まっていない
絶対譲れないもの、極力譲りたくないもの、妥協できるもの、なくても困らないもの、を予め家族で話し合っておきましょう。
優先順位が決まっていないと、あれもこれもと欲が出て、予算オーバーになってしまいます。
2.諸費用を把握できていない
注文住宅の場合、本体工事費の他に、「付帯工事費用」、「諸費用(手続きに必要)」、土地がない場合は「土地代金」がかかります。
この点を踏まえて予算を組まないと、大幅に予算オーバーしてしまうことも。
よく分からない場合は、注文住宅の相談窓口で聞いてみることをおすすめします。
3.利用できる補助金を理解できていない
新築の家づくりでは、条件を満たせば国や地域から補助金や助成金がもらえる制度があります。それらを利用すれば、予算オーバーを防げる可能性が高まりますよ。
自分たちに合うものが分からなければ専門家に相談してみましょう。
4.家づくりの基本知識がない
家づくりの基本知識を自分たちで身に付けておくことも大切です。基本知識が足りないと、相場より高い金額で契約してしまったり、高い金利の住宅ローンを組んでしまったり、使えるはずだった補助金が使えなかったりと損をしてしまうことも。ハウスメーカーや工務店に任せきりではなく、自分たちでも知識を身に付けておくと良いでしょう。
新築で予算オーバーしたら削れるところ11選
もし予算オーバーしてしまった場合、削れるところを紹介します。
1.床面積
注文住宅の建築費用は「坪単価×床面積」が目安。当然、家が大きいほどお金がかかります。
家を小さくする、つまり延べ床面積(全フロア面積の合計)を減らすことで大幅なコストダウンにつながります。例えば、廊下の長さ、子ども部屋や寝室、リビングの広さ、ベランダの有無など、「なくても良いかも」というところを見直してみましょう。1階だけでなく、2階も減らせば予算を抑えられます。1坪減らすだけで数10万円の節約になることもありますよ。
ただし、ハウスメーカーによって面積の出し方が異なるので、床面積を決める際は確認しておきましょう。
2.屋根
家の屋根には、「切妻(きりづま)」、「寄棟(よせむね)」、「片流れ(かたながれ)」など複数の種類があります。予算オーバーした場合は、費用が安い切妻や片流れをおすすめします。
ただし、屋根の勾配によっては、工事の際に足場が必要なのでコストがかかる場合もあるのでしっかり確認しましょう。
また、総2階(1階と2階が同じ形でシンプルな構造の家)にして、構造材・屋根材を減らすと費用を抑えられます。
※土地の形や環境によっては総2階の建築が難しいこともあります。
3.部屋数
部屋の数だけドアや窓が必要なため、部屋数を減らせば予算を抑えられます。「なんとなく」で部屋を増やしてしまいがちなので、部屋の用途を考え、本当に必要なのかをきちんと考えて決めましょう。例えば子ども部屋を間仕切りにしたり、書斎や作業部屋は作らずスペースを有効活用したりするのがおすすめです。
4.和室
畳の費用がかかる分、和室の方がコストは高くなる傾向にあります。和室は作らず洋室のみにした場合、100万円単位で節約できることも。畳は張り替えが必要な為、長期的に見てもコストがかかります。和室を作らず、リビングの一角に「1畳ほどの畳コーナー」を設ける選択肢もありますよ。
5.収納の数
収納スペースはまとめるのがおすすめ。なるべく家具を置きたくないからと全ての部屋に収納スペースを作るとコストがかかります。費用面から言えば、備え付けの収納スペースを複数作るより、大きめのクローゼット1つにまとめて収納することをおすすめします。
6.窓の数
明るくて開放的な家にしたいと窓をたくさん設置すると予算を圧迫します。また、必要以上に数が多いと、逆に冷気が入ってきたり光が当たりすぎたりするため、過ごしにくいことも。採光のバランスを考えて窓の数を決めると良いでしょう。必要最低限にすれば、費用を抑えられるだけでなく、断熱性能が上がり、冷暖房費の節約にもなりますよ。削れるところは削りましょう。
7.水回り
水回り(キッチン、お風呂、トイレ、洗面所)はまとめましょう。水回りを複数設置すると、それぞれに配管工事が必要なので、その分費用も高くなります。水回りをまとめることで家事動線がスムーズになるメリットもあります。また、素材のランクを下げる選択肢も。最新のキッチン設備にこだわらなければ、コスト削減につながります。妥協できるところと、できないところを家族で話し合って決めると良いですね。
8.設備
グレードを下げて、ハウスメーカーの標準装備や型落ち品を使うと予算オーバーを防げます。その時は最新設備でも、数十年過ぎると買い替えが必要なこともあるので、費用を抑えるためにはこだわりすぎないことも大切。その設備が本当に今の自分たちに必要なのか考えて決めることをおすすめします。設備は将来、お金に余裕のある時、本当に必要になった時に買い替えを検討することもできます。
9.エアコンや照明の施主支給
施主支給とは、施主が自ら製品を購入すること。建築現場へ搬入した後は、施工会社へ渡して取り付けてもらうのが一般的です。例えばエアコンや照明は、ホームセンターやネット通販などで安価に手に入ります。自分たちで手配することで費用を抑えられます。ただしハウスメーカーによっては、設置時に「工事費」を請求される場合もあるので、しっかりと確認しましょう。
10.見た目
建物の形状が複雑になるほど予算がかかります。外観をなるべく凹凸のないシンプルな形にすれば使う資材が減るため、予算を抑えられます。将来の維持費の面でも、メンテナンスや修繕費にかかる費用が安くなるメリットもあります。
11.外構を後付け
門扉やフェンスといった外構、植栽は、住み始めてからでも付け足せます。最低限の防犯面や安全面に注意して、居住部分を優先させるとコストダウンにつながりますよ。
新築でコストダウンしてはいけないところ6選
新築の注文住宅で予算オーバーした場合でも、削るべきではないところもあります。家づくりで後悔しないために、以下の6つは削らないようにしましょう。
1.断熱材
断熱性や耐震性など、住宅の性能は削るべきではありません。快適に過ごせなかったり、不安を抱えた生活になったりする可能性があるため、住宅の性能にはしっかりお金をかけると安心です。特に重視したいのが断熱材。ここを削ると、冷暖房を付ける機会が増えて、光熱費が高くなってしまいます。長く住むことを考え、断熱材はしっかりしたものを選びましょう。住み心地に大きく関わってきますよ。
2.外壁
外壁や屋根は、品質の良い資材を使うことをおすすめします。安い外壁や屋根は汚れが付きやすく、頻繁にメンテナンスしなければいけないため、住んでからのことを考えると余計に費用がかかってしまいます。サイディングやガルバリウム鋼板を選ぶと維持費を減らせますよ。
3.外構
外構を削りすぎると、日々の暮らしの中でストレスの原因になる可能性があります。例えば庭のフェンスや塀。しっかり考えておかないと、家の中が外から丸見えということも。
隣人と近すぎてトラブルになったり、プライバシーが確保されなかったりすることもあるので、実際に住んでからの生活をイメージして必要最低限のものを考えると良いですね。
4.窓のグレード
前述の「予算オーバーしたら削れるところ」で窓の数について紹介しましたが、窓自体のグレードは下げないようにしましょう。窓を安価なものにすると防犯面が心配ですし、断熱性が弱くなります。できれば防犯ガラスや2枚以上のガラス窓にすると安心ですね。
5.セキュリティ面
防犯面を削ると、せっかくマイホームを建てても安心して暮らせませんよね。特にお子さんがいるご家庭だと、セキュリティ面は大事にしていただきたいポイント。
防犯カメラ、姿の見えるインターホン、面格子など、どのようなセキュリティが必要か、家族でしっかり話し合い、お金をかけるところを見極めましょう。家族みんなが安心して暮らせることが最優先です。
6.こだわりのある部分
今回、「新築の注文住宅で予算オーバーした時に削れるところと削るべきでないところ」を紹介してきました。しかし、削れるところでも高いこだわりがあるなら、そのこだわりを優先させた方が満足度の高い家づくりができます。
こだわりを形にできるのが注文住宅の最大の魅力。「大切な家族とどんな暮らしがしたいのか」をイメージして後悔しない家づくりをしましょう。
【まとめ】予算オーバーしても300万円のコストダウンは可能!
家づくりで大切なことは、住み始めてからの暮らしを具体的にイメージすること。そうすると、新築の注文住宅で予算オーバーしたときも、「削れるところ」と「削るべきではないところ」が明確になり、後悔しない家づくりができるでしょう。
例えば、4LDKの間取りで、LDKが20帖ほどあるリビングならば、3LDKの間取りにしてLDKを約16帖にすると、一気に300万円下げることが可能です。
このように、間取りを工夫し、リビングを削るとこれだけの節約ができます。しかし、広いリビングにこだわりがあるならば、家づくりの満足度は下がるかもしれません。他の部分を削ることを考えた方が良いかも。つまり、しっかりと優先順位をつけて計画を進めていくことが大事なのです。
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