注文住宅では自分で自由に間取りを決めることができる反面、具体的にどこから考えて、何を決めれば良いか分からないですよね。今回は間取り決めの際に注意したいこと、家族構成によって使いやすい間取りとはどのようなものかをご紹介していきます。
間取りってどうやって決めるの?
注文住宅では部屋の数や配置、窓の位置や大きさ、収納スペースの広さまで自由に間取りを決めることができるため、まさに夢のマイホームといった感じがしますね。しかし白い紙とペンを渡され、「ここに希望の間取りの図面を描いてください」と言われても、どこから手をつけて良いのか素人には難しいです。
通常、間取りを決めるときは土地が決まっていることが前提で、土地の形や方角を考慮した上で、設計士さんを中心に何度も相談を重ねて作り上げていきます。まず自分たちの具体的な希望を伝え、設計士さんが間取り案を作ってくれます。それを見ながら、良いと感じた部分や変更したい箇所を伝え、また新たな修正案を提示してもらう。この繰り返しで徐々に間取りが完成していきます。
また法律上の問題で、希望通りの設計にならない場合もあります。私も注文住宅で戸建てを建てましたが、採光に関する基準を満たさないという理由で、窓の位置と大きさを大きく変更した部屋があります。
設計士さんが考えてくれることは、図面上に見える間取りだけではありません。構造上の建物の強度問題など、目に見えない部分でも色々と考えなければならないことがあるようです。
これも私の例ですが、2階に水回りを設置する案で進めた際、「希望の間取りで作ると排水管がこの位置にくるので、1階の天井の一部に段差が生じます。それが嫌な場合は、このような間取りもありますがいかがでしょうか。」と別プランを提示してもらいました。
すべての希望を叶える事は現実的ではありませんが、せっかくのマイホーム。できることならたくさんの希望が叶う間取りにしたいですよね。打ち合わせを通して、どうしても譲れない部分や妥協しても良い部分を洗い出していき、プロと相談しながら素敵な間取りを作っていきましょう。
家族タイプ別のおすすめ部屋数とは
2人家族の場合
家族が2人の場合、1LDK〜2LDKの広さがあれば問題ないでしょう。夫婦それぞれ1人になれる独立した空間が欲しいのか、2人で過ごす時間が多いのかによっても、部屋の数や広さは変わってきます。ほかにも、どちらかに夜勤がある、お互いに在宅ワークやweb会議が多いなど、生活リズムや日中の過ごし方も考慮する必要がありますね。
また、将来子どもが生まれることも想定するならば、部屋の使い方に関してもいくつかのパターンを考えておくと良いでしょう。6畳〜8畳程度の個室は、夫婦2人の時は仕事部屋や趣味の部屋として使い、家族が増えたら寝室として利用することもできます。あえて個室を広めにしておき、将来的には間仕切りで空間を分けて使うという方法もあります。
私が子どものときに住んでいた家は、3階建のうち2階が大きなワンフロアでした。ここに2段ベッドを置き、兄弟姉妹で部屋を分けて使っていましたが、自分の空間を保ちつつ、声をかければいつでもおしゃべりができるという部屋の使い方は楽しかったです。
3人家族の場合
すでに子どもが1人いるという場合は、2LDK〜3LDKがおすすめです。部屋の数が増えると、使い方もさまざま。最近では、子どもが小さいうちは夜泣き対策のために夫婦どちらかが子どもと一緒に寝て、もう1人は別の部屋で寝るというパターンもあるようで、部屋割りの一例として次の3つを挙げておきます。
・夫婦の寝室+子ども部屋
・家族の寝室+書斎
・子どもと一緒に寝る部屋+もうひとつの寝室
このほかにも、趣味の部屋として利用する、すぐに使う目的がない場合は来客用として空けておく、物置き代わりにする、なども良いかもしれません。その時々に合った使い方を楽しんでください。
4人以上の家族の場合
3LDK以上あると、個室が用意でき、1人で落ち着きたい時に使える場所が確保しやすいため、ゆとりが生まれてきますね。子どもが思春期になる頃には、性別によって部屋を分けることも想定しておくと良いでしょう。
最近は、小学生になってもすぐには子ども部屋を作らず、勉強机も買わないというパターンも増えてきています。我が家にも小学生がいますが、子ども部屋は特に用意していません。ドアを2箇所設けた12畳強の大きな部屋があり、将来的には家具で仕切って2部屋に分けることを想定しているため、細かいことですがエアコンの通気口も2箇所作りました。現在は簡易ソファーを置いて、第2のリビングのような使い方をしています。
最初から用途を指定せず、子どもの成長や家族の生活スタイルの変化に合わせて、柔軟に対応していきたいですね。
住んで実感!満足度を高める間取りに必要なものとは
収納関係でおすすめなのはウォークイン◯◯
間取りを考える際、つい部屋の数や広さに目が行きがちですが、住んでから後悔しやすい点として収納スペースの問題があります。あとから収納用の棚を購入することも可能ですが、部屋が狭く感じてしまったり、インテリアに統一感を持たせるのに苦労したりする場合も。
ここでおすすめなのが、ウォークインクローゼットと、ウォークインシューズクローゼットです。
ウォークインクローゼットとは、人が入れる衣装部屋のようなものを指します。各部屋についている通常のクローゼットは奥行きが50〜60cm程度ですが、ウォークインクローゼットの収納量はその何倍もあります。家族の寝室にウォークインクローゼットをつけて、全員の洋服を1箇所に収納している例もあります。
同様に、ウォークインシューズクローゼットとは、玄関から続く形で作られた靴の収納空間のことです。さらには、家の中に持ち込みたくないものをそのまま置くことができる土間収納も非常に便利です。
玄関付近のこれらの収納スペースには、傘やコートのほかにも、ベビーカー、三輪車、外遊びの道具、洗車用品、ガーデニング用品などをしまっておけます。子どもが大きくなってからは部活の道具を置いたり、ウインタースポーツ好きな家族であればスキー板やウエアの保管場所として活用しても良いかもしれません。また、戸建の場合は、不燃ごみやビン・カンのゴミ捨ても曜日が決まっていることが多いので、一時的なごみ置き場として使うと、玄関をスッキリさせることができるでしょう。
こんなところに!?意外と便利な水回り場所とは
もうひとつ、間取り決めの際に一度は検討して欲しいのが、玄関付近の手洗いコーナーと、各階に設置するトイレおよび洗面台です。
通常の洗面所は、お風呂や脱衣所とセットになっていることがほとんど。近くには洗濯物があったり、さまざまな日用品を収納したりすることもあり、来客には見せたくないと思っている方も多いのではないでしょうか。玄関付近に手洗いコーナーがあれば、わざわざ洗面所を片付ける必要もありませんし、普段からも、帰宅時にすぐに手が洗えて衛生的です。
また、トイレと洗面台を各階に設置することもおすすめです。2階が寝室の場合、子どもが小さいうちは、階段を降りずにトイレに行けますし、コロナ感染をはじめ、誰かが病気になった時にも分けて使うことが可能です。
もちろん予算を考慮する必要がありますが、実際の暮らしを想像しながら、ぜひ一度検討して欲しいと思います。
間取りを決めるときに考えたい重要ポイント3つ
家事動線
皆さんはいつも、どのような流れで家事を行っていますか?朝起きてから出勤まで、夕方帰宅してから就寝まで、何を、どの順で済ませているでしょうか。一度じっくり思い出してみてください。
朝食のコーヒー用にやかんをコンロにかけたら、洗濯機を始めるために脱衣所に行き、戻ってきたらコーヒーをいれつつ子どもたちの朝食をダイニングテーブルに出し、一息ついたところで子どもが1人起床。トイレに一緒に行ったあとは、着替えを見守りながら、人数分の水筒の準備。もう1人が起きてきて自分でトイレに行ってくれたものの、うんち出たー!と呼ばれて再びトイレへ。そうこうしているうちに洗濯が終わり、子どもたちに朝ご飯を促しながら洗濯物を干すためにあちこち移動を続ける…。
朝の様子をイメージしただけでも、子どもが小さいうちは特に、親が忙しく動き回っていることは容易に想像できます。これを夫婦で分担したり、子どもが小学生以上になり自分の身支度を一人でできるようになったりすると、効率は良くなるかもしれませんが、狭い場所では渋滞が起こる可能性も出てきます。
そんな問題を解決してくれる間取りが、回遊動線です。回遊動線とは、家の中に行き止まりを作らず、ドーナツ型のようにぐるぐる回って移動できる作りを指します。また風通しも良くなるため、換気がしやすい、においがこもりにくいなどのメリットもあります。
現在の生活でどのように家の中を移動しているかを改めて確認し、料理と洗濯を同時にやる場合はキッチンと脱衣所を隣接させるなどの工夫をしながら、家事動線を考慮した間取り案を練ってみると良いでしょう。
家具の配置
間取りを考える際には、家具・家電の大きさとそれらの配置場所を一緒に考えましょう。私も設計士さんから「次回までに、今使っている家電、家具の大きさを測ってきてください」と言われた経験があります。
住んでから家具を新調したり模様替えをしたりすることもありますから、最初から配置を全て決めなければならないというわけではありません。しかし、せっかくの注文住宅です。家具を置いたら思ったより部屋が狭くなった、家具が飛び出していて足をぶつけやすい、家電を置いたがコンセントが遠かったなどの不便さを最小限にすべく、実際に住んだ時のイメージをもって間取りを考えてみましょう。
また、造作家具についても考えてみることをおすすめします。これは、建築の段階で壁に直接造り付ける家具のことで、本棚、机、ベンチ、カウンター型のテーブルやダイニングテーブル、飾り棚などが含まれます。
私は床から天井までの高さがある本棚は造り付けでお願いしたためかなりの本をスッキリ収納できており、リビングに提案されたベンチは家具の配置替えがしにくいと考えたためお断りしました。数年住んでみて、今ではどちらも正解だったと感じています。これらは、間取りを考える段階ですぐ思いつくものでもないので、カタログやモデルハウスを見て自分の理想を考えてみるのもおすすめです。
収納
収納は、いくらあっても余ることはないでしょう。家を建てる際、予算内におさめるために収納スペースを削る、ということがよく見受けられます。しかし実際の生活を始めてみると、収納スペースが不足すると物がどんどんあふれ、ゴチャゴチャした印象の部屋になってしまいます。
私はトイレの壁に埋め込み型の収納棚を造りました。予備のトイレットペーパーや掃除用品はそこにしまっており、扉もついているのでトイレ内はスッキリしています。また余計な棚がなく、ワンアクションでさっと床を拭く動作に移れるため、掃除をするのも簡単です。
家族が増えれば物も増えます。家の中にどれくらいの荷物があって、何をどこに片付けるかまでをしっかり考えて間取りに反映していくと、引越し後の新生活もスムーズに始められること間違いなしです。大変な作業ではありますが、時間のあるうちに、少しずつ取り組んでみてください。
まとめ
間取りを考えるのは、非常にワクワクする時間です。あれもいいな、これもいいなと夢が膨らみますが、残念なことに、それら全てを詰め込むことは難しいのが現状です。何が良くて、何が悪いかは人それぞれ。モデルハウスのような間取りや人気のある間取りが、自分たちの生活に合っているとは限りません。たくさんの事例を見ながら、住みやすい間取りはどのようなものか、現実と照らし合わせながらじっくり考えてみてください。
間取りの打ち合わせが始まると、期限内に決めなければならないことがかなり多いです。理想の土地に出会えたときのためにも、今のうちから少しずつイメージを作っていけると良いですね。