増加傾向にある共働き世帯にとって、出産と同時に検討を始めなければならない「保活」。具体的にどのように動けばいいのかわからず不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。そこで誕生月別の動き方や、保活の流れ、保活を成功させるコツなどを掘り下げていきます。
今回は、4月入園のための保活スケジュールを紹介していますが、4月入園以外をご希望の方も参考になる内容なので是非ご覧ください。
保活とは何のこと?
保育園の種類には認可、認可外がありますが、「保活」とは一般に認可保育園への入園を目指して活動することをいいます。
認可保育園を希望する場合、情報収集や保育園の見学だけでなく自治体への「保育の必要性の認定」の申込などの手続きも必要になります。
保育の必要性の認定で保育園が利用できる区分にならなかったり、入園を希望する認可保育園の入園希望者が多く選考に落ちたりした場合は認可外保育園やベビーシッターなど他の施設やサービスの利用を検討することになります。
保育の必要性の認定とは?
「保育の必要性の認定」とは自治体が必要に応じた保育・教育サービスを提供していくために保育の必要性や必要量を判定する制度です。
認可保育施設に入りたい場合は「保育の必要性の認定」を受けて認定区分の2号・3号に判定されなければなりません。
保護者の就労形態や妊娠・出産、疾病、親族の介護状況、保育が必要な時間などから判定して次のように区分され、利用できる施設と利用時間が決定されます。
対象児童 | 利用できる施設 | |
1号認定 | 保育を必要としない満3歳以上 | 幼稚園や認定こども園 |
2号認定 | 保育の必要性が認められた3歳以上 | 認可保育園や認定こども園 |
3号認定 | 保育の必要性が認められた3歳未満 | 認可保育園や認定こども園 |
「認可」と「認可外(無認可)」はどう違う?申込方法も異なる!
図のように認可保育施設の保育園には認可保育園、認定こども園があり、認可外保育施設の保育園には認可外(無認可)保育園、認証保育園があります。それぞれの園の違いと申込方法をみてみましょう。
認可保育園
認可保育園とは、国が定める認可基準の施設の広さ、職員数、給食設備、衛生管理などの条件を満たし都道府県知事に認可された施設です。
自治体が運営する公立認可保育園と、民間企業などが運営する私立認可保育園があります。
公立の場合も私立の場合もお住まいの自治体に入園申込をすることになります。
認可保育園は国や自治体からの補助金があるため保育料が安いイメージがありますが、保育料は世帯年収によって変わってきます。
世帯年収によっては認可外保育園の保育料の方が安くなることもありますので、保育料が気になる方は自治体から認可保育園の保育料の計算方法の資料をもらって計算してみてもよいですね。
認定こども園
認定こども園とは教育と保育をどちらも行う幼稚園と保育園をあわせたような施設です。
朝からお昼過ぎくらいまでは幼稚園と同じように小学校入学後の教育の基礎を培うための幼児教育を行います。そしてその後の時間も保育を必要とする子どもを夕方まで預かります。
認定こども園も認可保育施設の1つなので、お住まいの自治体に入園申込をすることになります。
認可外(無認可)保育園
認可基準を満たしていない民間の施設ですが、児童福祉法などに基づいた適切な運営・保育内容であるかを自治体が施設へ立ち入って調査しています。
また、認可基準を満たしていても保育理念などから認可外として運営している保育園もあります。
園によっては英語教育を取り入れたり、保育時間を延長したりするなど保護者のニーズに応じた取り組みが行われています。
保育料は世帯年収に関係なく園が定めた金額なので一般に認可保育園より高くなることが多いようです。
自治体によっては認可外保育園に通う際に補助金制度がある場合もありますので、自治体の公式サイトを確認してみましょう。
園ごとに募集を行っているため入園を希望する場合は保育園に直接申込をします。
認証保育所(認証保育園)
認証保育所は東京都が独自に設けている制度です。国の定める認可保育園の設置基準は、大都市では定員数や敷地面積などの面で実現が難しいことがあります。
しかし大都市部こそ保育園が不足しているため、東京都は共働きやひとり親家庭などを考慮して基準を緩和し、認証保育所制度を設けているのです。
区分としては認可外保育施設ですが、料金設定に一部上限額を設けたり、提供サービスを示す「認証書」や基準に合っていることを示す「適合証」を掲示することを義務付けたりしています。
申込方法は認可外保育園と同じく保育所へ直接申込むことになります。
東京都以外にも同様の制度を設けている地域もありますので、お住まいの自治体の市役所などに問い合わせてみましょう。
保活の流れ5ステップ
①情報収集
まずは自分の住む自治体の市役所などに行き、最新の入園案内と申請書類一式をもらいます。
入園案内に基づいて自分の世帯の保活の「点数」を計算します。点数(指数)とは、家庭の状況を数値化したもので認可保育園の入園希望者が定員より多かった場合の選考に使われます。
次に入園案内を見て自宅から通える範囲や通勤の条件に合う保育園をピックアップしましょう。
②保育園見学
候補の保育園に見学を申込み、実際に保育園を見学します。複数の園を見学してリスト化し、説明された内容や自分が感じたことなどを記録しておきましょう。
③申込準備
自治体でもらった申請書類一式に不明な点があれば市役所などに聞くこともできますので早めに確認しましょう。
また自分で計算した点数が合っているか、入園を希望する保育園に必要な最低点数を満たしているかなど不安なことがある場合も遠慮せずに市役所などに相談してみましょう。
不安が解消されたら申込に必要な書類を準備して保育の必要性の認定の申込をします。
必要書類の中には就労証明書など勤務先に作成してもらうものもあるので、余裕を持って勤務先の担当部署に依頼しましょう。
④申込手続きを実施
必要書類を揃えて期限に遅れないように申込をします。
入園希望の保育園の欄には、見学してみて通っても良いと思えた保育園をなるべく多く書いた方が入園できる可能性が高くなりますよ。
⑤入園もしくは代替案の検討
内定通知が届いたら入園する保育園の案内にしたがって準備を進めます。
もし入園希望した認可保育園のどこにも入れなかった場合には、次のような代替え案を検討しましょう。
・認可保育園の2次募集に申込む
・認可外保育園に申込む
・ベビーシッターなどのサービスを利用する
・育児休業を延長する
保活は1年がかり?!4月入園の場合のスケジュール
・4月〜9月:情報収集、候補を決め保育園の見学
市役所などに行って保育園の入園案内をもらうか、自治体のサイトで保育園に関する情報を確認しましょう。
保育園一覧の中で自宅周辺や通勤時に利用しやすい保育園をピックアップし、保育園のサイトを見たりパンフレットをもらったりします。
保育園の候補を決める時のポイント
・立地は保護者や子どもにとって登園しやすい場所か
・車で送迎する場合は駐車場の有無
・保育園の保育方針は子どもに合っているか
・定員と受け入れできる年齢・月齢
・保育料と保育料以外の料金(布団レンタル代、教材費など)
・保育時間と延長保育は何時までか
・延長保育の料金
・保育園の設備(園庭の有無・保育室の広さ・給食の状況など)
保育園によっては見学会を定期的に開催しているところもあるので保育園のサイトのお知らせ欄などを確認してみましょう。
随時見学を受け付けている保育園には直接連絡して見学の日程調整を行います。
見学する時に確認するポイント
・在園児たちが楽しそうに遊んでいるか
・保育士は園児たちに優しく笑顔で接しているか
・施設は清潔か
・遊具の手入れは行き届いているか
・園庭や保育室の広さ
・保育士の人数に対する園児の人数が適切か
入園したら子どもが日中のほとんどを過ごす場所なので見学が可能な場所は必ず確認しておくようにしましょう。
事前に質問したいことをまとめておくと見学の時に効率よく尋ねることができますよ。
認可外保育園の場合は園に個別に入園申込をするので、見学の際に案内をもらって申込書類や提出時期、提出方法などを確認しておきましょう。
・10月〜12月:次年度4月入園の1次申込
自治体や保育園から申請書類一式をもらいます。自治体によって必要書類が違いますので、必ず募集要項に沿って書類を準備し、提出期限に遅れないように提出しましょう。
万が一提出が遅れたり書類に不備があると4月に入園できなくなってしまう可能性がありますので、不明点があれば余裕を持って自治体や保育園に確認しておきましょう。
・1月〜2月:1次申込の選考・結果通知
選考結果通知が来て入園する園が決まったら持ち物などの準備を始めます。保育園に直接連絡し、お昼寝セットやお着替えなどについて確認しましょう。
保育園によっては入園前に面談を行うところもあります。面談がある場合は必要な物一覧をもらい、不明な点があれば直接質問すると不安が解消されますね。
もし結果通知予定日が過ぎても連絡がない場合は自治体や保育園に問い合わせてみましょう。
・2月〜3月:2次申込、選考・結果通知
1次申込で希望した保育園のどこにも入れなかった場合、2次募集に申込みます。2次募集は1次募集後も空きがある園が行いますが、2月までに募集を締め切ることが多いので早めに自治体や保育園の募集要項に沿って書類を準備し提出しましょう。
もし2次募集をしている保育園に通えそうな保育園がない場合は、自宅や会社周辺の認可外保育園やベビーシッターを検討するなど他の選択肢を検討することも必要です。
また保育園の可否が出たら復職予定の会社の方にもいつから復帰できるのか早めに報告しておきましょう
・4月:保育園に入園し数週間の慣らし保育後、通常保育へ移行
入園しても最初の数週間は短時間での慣らし保育を実施している保育園が多いので、慣らし保育のスケジュールをよく確認して復職時期を決めましょう。
誕生月で変わる保活のスケジュール
誕生月によっては保活を妊娠中から始めなければならない場合もあります。4月に復職するための誕生月ごとの保活の年間スケジュールを見てみましょう。
保活はいつから?4月・5月・6月生まれの場合
4月・5月・6月生まれならゆとりを持って保活に取り組むことができます。出産した後から情報収集をし、夏頃から保育園見学を始め、早めに入園申込の準備に取りかかれます。
4月~6月 | 出産
情報収集 保育園見学 |
7月~9月 | 情報収集
保育園見学 入園申込の準備 |
10月~12月 | 入園申込 |
1月~3月 | 入園可否の通知
入園準備 2次募集の申込 |
4月 | 入園 |
保活はいつから?7月・8月・9月生まれの場合
7月・8月・9月生まれの場合、出産後の残り時間を踏まえて妊娠中から情報収集や保育園見学をする必要があります。9月生まれの場合は出産後すぐが申込時期なので、出産前に情報収集や保育園見学をして入園希望として書く保育園候補を決めておくとよいでしょう。
4月~6月 | 情報収集
保育園見学 |
7月~9月 | 出産
情報収集 保育園見学 入園申込の準備 |
10月~12月 | 入園申込 |
1月~3月 | 入園可否の通知
入園準備 2次募集の申込 |
4月 | 入園 |
保活はいつから?10月・11月・12月生まれの場合
10月・11月・12月生まれは出産と申込の時期が重なります。特に12月生まれの場合は、出産時には1次の入園申込はすでに締め切られていることもあります。
自治体によっては出産前に入園申込ができる場合もあるので妊娠中に情報収集、保育園見学をして申込まで行うか、または入園申込は家族に行ってもらうことも考えましょう。
0才児での入園を検討している場合、保育園によって受け入れ可能な月齢が違いますので、情報収集の時に希望の保育園が何ヵ月から受け入れ可能かも確認しなくてはなりません。
4月~6月 | 情報収集
保育園見学 |
7月~9月 | 情報収集
保育園見学 入園申込の準備 |
10月~12月 | 出産
入園申込 |
1月~3月 | 入園可否の通知
入園準備 2次募集の申込 |
4月 | 入園 |
保活はいつから?1月・2月・3月生まれの場合
1月・2月・3月生まれの場合は出産後には次年度の4月入園の申込がすでに終わっている場合が多く、他の月の生まれとスケジュールが変わってきます。
次年度の途中での入園に向けて保活する、または再来年度の4月に1才児クラスへの入園に向けて保活することになります。
途中入園の場合は空き枠が少ないので認可保育園と認可外保育園の両方を検討した方がよいかもしれません。
また、情報収集の際に入園を希望する保育園が受け入れている月齢も確認しておきましょう。
自治体によっては出産前から入園申込できるところもあるので、市役所などに問い合わせてみましょう。
1月~3月 | 出産
情報収集 保育園見学 |
4月~6月 | 情報収集
保育園見学 |
7月~9月 | 情報収集
保育園見学 入園申込の準備 |
10月~12月 | 入園申込 |
1月~3月 | 入園可否の通知
入園準備 2次募集の申込 |
4月 | 入園 |
保活を成功させるコツ「点数」を稼ぐ方法
保活の「点数」の計算方法と加点ポイント
保活の話題で必ず登場する「点数」は正式には「指数」といい、家庭の状況を数値に表したもの。認可保育園の入園希望者を選考するために使われます。
一般に認可保育園の選考のための指数の計算方法は「選考指数=父親の基準指数+母親の基準指数+調整指数」ですが、自治体によって配点ルールに差があるため、正確な指数はお住まいの自治体の配点ルールを確認して計算してみてくださいね。
基準指数とは?
基準指数とは就労状況(月に何時間以上働いているかなど)や健康状態(病気や障害など)のような保護者の基本的な情報をポイント化したものです。
調整指数とは?
調整指数とは家庭の状況に合わせて加点・減点して調整する点数のことです。
加点の例
・希望する保育園に兄弟姉妹が在園中
・就労中で既に無認可保育園やベビーシッター利用などの実績がある
・ひとり親である
・父親(母親)が単身赴任をしている など
減点の例
・祖父母が同居している など
優先順位とは?
優先順位とは同一指数の希望者がいた場合に入園できる人を決定するための順位づけをする基準のことです。
例としては自治体の居住歴が長い世帯を優先する、世帯年収が少ない世帯を優先する、子どもが3人以上の世帯を優先するなどが挙げられますが自治体によっては公表されていない場合もあります。
時短勤務予定でも最初はフルタイム復帰
基準指数は労働時間数で変わってきます。もし時短勤務で復職すると規定の時間数を下回ってしまう場合は、保活の点数を稼ぐためにフルタイムで仕事に復帰するという方法が挙げられます。
しかし、もちろん子育てと両立しながら仕事をするためには時短勤務の方がよいですよね。
もし可能であれば保育園の申込時はフルタイムで申請して、復職後に時短に変更できるようにあらかじめ勤務先に相談しておくのも1つの方法です。
自治体によっては申請内容と勤務実態が異なることを報告しなかった場合に減点になることもあるので、入園案内をよく確認してから申請しましょう。
先に職場復帰し認可外保育園やベビーシッターの利用実績を作る
保育園の申込前に仕事を再開し認可外保育園やベビーシッターの利用実績があると調整指数が加点されたり優先順位が上がったりする自治体があります。
自治体により実績に必要な期間や時間数、費用が異なるので詳細は市役所などの担当者に確認してみましょう。
認可保育所に入園できなかった場合は?
認可保育園の2次募集に申込む
2次募集は1次募集後にもまだ定員に空きがある保育園が行います。2月までに締め切る場合が多いので早めに募集している園を探しましょう。
また隣の自治体の保育園にも通えるような場所にお住いの場合、他の自治体で2次募集をしている保育園がないか調べてみてもよいかもしれません。
認可外保育園に申込む
通える範囲の認可外保育園の定員に空きがあれば入園できる可能性があります。お近くの認可外保育園に直接確認してみましょう。
ベビーシッターを利用する
認可保育園にも認可外保育園にも入れなかった場合、ベビーシッターを利用するという方法もあります。
自宅での保育なので登園準備や送迎が不要というメリットもあります。
地域によってはベビーシッターの利用に助成制度があることもありますので自治体に確認してみましょう。
育休を延長する
育児介護休業法で原則として子どもが1才になるまで育休を取得でき、保育所に入れない場合などは最長2才になるまで延長が可能と定められています。
復職予定の勤務先に待機児童になったことを知らせて育休延長の手続きをしましょう。
保活成功のコツは誕生月ごとのスケジュール把握!
保活は1年がかりであり、子どもの誕生月によって保活スケジュールも変わってきます。誕生月ごとのスケジュールを把握して効率よく活動して保活を成功させたいですね。
また住んでいる自治体によってスケジュールが異なることもあるのでこまめに情報をチェックし、分からないことがあればお住まいの自治体の保育課などに問い合わせましょう。
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