時代の変遷とともに共働き家庭が一般的になってきました。統計データを見ても共働き家庭の割合は明らかに増加傾向にあります。
この記事では、具体的な数字を交えながら共働き家庭が直面する現実やその利点を掘り下げていきます。
共働き家庭の割合は約7割にまで増加?!
バブル崩壊以降、家族のあり方が多様化してきました。世帯の平均年収の減少や女性の社会進出により、現在では共働き家庭が「男性雇用者と無業の妻」の家庭を上回っています。
・共働き家庭の現状と割合の推移
厚生労働省の「令和4年版 厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-」(2022年)によると、日本では現在、共働き家庭が増加し「男性雇用者と無業の妻」の家庭は減少しています。
その推移を見てみると、総務庁(当時)の「労働力調査特別調査」が始まった1985年には「男性雇用者と無業の妻」の家庭は936万世帯、共働き家庭は718万世帯でした。
1991年に初めて両者の割合が逆転し、その後はだんだんと差が大きくなり、2021年時点では共働き家庭が「男性雇用者と無業の妻」の家庭の2倍以上になっています。
また、2020年度の都道府県別の共働き世帯数を見てみると、1位は東京都で125万世帯、2位は神奈川県で92万世帯、3位は愛知県で83万世帯です。
そして共働き世帯数を一般世帯数で割った共働き世帯割合を見てみると、1位は福井県で34.69%、2位は山形県で34.4%、3位は富山県で32.83%になります。
(出典:政府統計の総合窓口)
・日本の夫婦の約7割は共働き
厚生労働省の「令和4年版 厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-」(2022年)によると、2021年の共働き家庭は1,247万世帯、「男性雇用者と無業の妻」の家庭は582万世帯。
共働き家庭は夫婦のいる世帯全体の約7割にあたることになります。
共働き家庭の妻のフルタイムとパートタイムの割合は?
総務省の「労働力調査」では、2021年時点の共働き家庭の中で妻がフルタイム(週35時間以上就業)で働いている家庭が486万世帯、パートタイム(週35時間未満就業)で働いている家庭が691万世帯です。
その推移を見てみると妻がフルタイムで働く家庭は1985年に461万世帯で、それ以降30年以上400~500万世帯の間で推移していてそれほど大きな変化はありませんでした。
一方、妻がパートタイムで働く家庭は1985年に228万世帯でしたが、約30年の間に約700万世帯になり急増しています。
また、内閣府の「令和5年版 男女共同参画白書」(2023年)で2022年時点で就業している女性のうちパートタイムで働いている割合を年代別に見ると、25~34歳が31.4%、35~44歳が48.4%、45~54歳が54.9%と、30代前後でパートタイムで働く割合が増えています。
共働きを選択する人の理由で多いのは?
・経済的な安定を求めて
共働きだと世帯収入が増加して生活にゆとりが生まれます。
近年は教育費用が上がる傾向にあるため、子どものいる家庭にとっては世帯収入を増やして経済的なゆとりを持つ必要が出てきたと考えられます。
持ち家を検討している家庭ではマイホーム資金のために収入を増やしたいという考えもあるでしょう。
また収入が増加すれば今の生活が豊かになるだけではなく、老後のための資金にも余裕ができます。
世帯主1人が仕事をしている場合でも昇進や昇格で年収は上がっていきますが、ある程度時間がかかり、昇給の限度もあります。
共働きならば2人が同時に働くことで大きな収入増が期待できます。
・世帯年収の変動と経済状況
共働き家庭が増えている背景には、世帯年収の減少もあるといわれています。
厚生労働省の「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」(2020年)では、1世帯あたりの平均所得金額(全世帯)は1994年の641.1万円をピークに低下し、2018年には514.1万円になっています。
バブル崩壊後の世帯年収の減少により、収入を補うために共働きを選択する家庭が増えたと思われます。
・女性活躍を推進する企業の増加
企業によっては女性の活躍を推進していることも共働き家庭の増加につながったと思われます。
介護士、看護師、保育士など一般的に資格を持っている方に女性の割合が多い職業や、家庭での経験を活かしやすい業務の需要が増え、女性の雇用機会が増えています。
また、新たな労働制度も共働きを後押ししてきました。
2005年には合計特殊出生率が史上最低の1.25%となりました。
そのため行政は夫婦が協力して仕事と子育てを両立し、不景気と少子化を打開することに向けて政策を進めてきました。
改正男女雇用機会均等法や改正育児・介護休業法などです。
2015年には女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が成立し、「働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会」の実現に向けて企業努力が求められています。
このような制度の導入で共働き家庭が増えてきたと考えられます。
・社会と関わりを持ちたい
”家庭以外の社会との接点を持ちたい”という考えも共働きを選ぶ理由の1つです。家の中で家事をするだけでは社会との関わりが薄くなったと感じてしまうでしょう。
仕事をすることで”社会に必要とされている”と感じることは大きな生きがいにもなります。
共働きをして家庭以外に居場所を作り、孤独感が減ることは精神的にもよいですよね。
以前は女性は結婚、出産を機に退職するという風潮がありましたが、その考え方も時代とともに変化してきました。
また、男性側の家事や子育てに対する意識の変化も共働き家庭が増えたことに影響していると考えられます。
家事も育児も妻だけがやることではなく”夫も妻もどちらかできるほうがやる”という考え方が広まりつつあります。
・自分の能力を活かしたい
自分の能力を活かすために共働きを選ぶ人も多くいます。結婚前に仕事でキャリアを積んでいたのなら、その経験や知識を無駄にしたくないと思うのは当然です。
現在は育児休業を終えて仕事に復帰することも随分浸透してきました。子育てと並行しながら仕事を続けたり、子育てを終えて仕事に復帰したりする方も少なくありません。
共働き家庭の世帯年収はどのくらい?
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2022年」では、夫婦共働き家庭の場合、1ヵ月の平均実収入は69万2,664円という統計が出ています。年収に換算すると831万1,968円。
そのうちの約67.2%が世帯主の収入 、約24.6%が配偶者の収入 、残りは家賃収入や内職収入となっています。
一方、夫婦の片方だけが働いている家庭の平均実収入は月56万4,210円です。年収に換算すると677万520円。
共働き家庭と夫婦の片方だけが働いている家庭の年収の差は平均154万1,448円ということになります。
共働き家庭のメリットと実際の効果
共働きをすると収入が増えるのはもちろん、他にもメリットが考えられます。
・家計に余裕ができる
共働きによって収入が増えれば家計に余裕ができます。家計に余裕ができることは気持ちの上でのゆとりにもつながるでしょう。
しかし収入が増えたからといって無駄遣いをするようでは意味がありません。浪費が習慣化しないように日々の生活に気をつけたいですね。
・リスクヘッジができる
リスクヘッジができるのもメリットの1つです。
2人が働いていれば、もし1人が怪我や病気で働けなくなってしまっても仕事ができるようになるまでの間、もう1人の収入で生活することができます。
世帯の収入が一時的に下がることはあっても無収入にはならないため、お金に関して不安にならずに治療に専念することができます。
・将来への備えができる
夫婦2人分の収入から貯金を積み立てていけば少しずつであっても着実に貯めることができ、子どもの学費やマイホーム資金など将来への備えができます。
毎月の収入から一定額を貯金していくのは大変なことですが、共働きであれば貯金するゆとりも生まれるのではないでしょうか。
・年金が増える
現在の生活に余裕ができるだけでなく、将来もらえる公的年金が増えるというメリットもあります。
専業主婦の場合は国民年金だけですが、会社に勤めていた場合はそれに加えて厚生年金が上乗せされるので、老後の生活にもゆとりが生まれます。
共働き家庭が直面するデメリットとその対策
共働きは確かに収入は増えますがデメリットもあります。デメリットを気にして諦めるのではなく克服する方法を検討してみましょう。
・家事や子育ての負荷が大きい
夫婦が2人ともフルタイムで働いていると家事や子育ての分担が問題になります。どちらかの負担が大きくなってしまうと共働きを続けていくことが難しくなってしまいます。
どちらかの実家が近くにある場合は家事や子育ての協力を頼むこともできますが、遠方の場合は他の方法を探さなくてはなりません。
自治体のファミリーサポートや民間の託児事業の利用を検討してみましょう。
・子どもが病気のときの対応方法を検討する必要がある
共働き家庭は、子どもの思わぬ病気や怪我のときの対応も考えておかなくてはなりません。子どもが小さいうちは頻繁に体調を崩すものです。
急な病気や怪我などで保育園や学校を休ませなければならない時に夫婦どちらか一方だけに負担がかからないように日ごろからよく対応を相談しておく必要があります。
病児保育等の利用方法についても調べておくとよいですね。
・家計管理がおろそかになりやすい
共働き家庭は世帯収入は多くなりますが、夫婦2人とも忙しいために家計管理がおろそかになりがちです。
世帯収入は増えたものの、思ったよりも貯金ができていないという結果になってしまうかもしれません。毎月の家計管理の方法を事前に夫婦で話し合っておく必要があります。
・支出が大きくなりやすい
共働きで収入が増えると、保育園の保育料や健康保険料など世帯の所得によって料金が決まるものは支出が大きくなります。
また今まで扶養控除や配偶者控除などが適用されていた場合は、世帯の収入が増加したために適用されなくなる可能性もあります。
共働き家庭は収入が増えるとともに支出も増えることも考えられますので、そのバランスを考えて正社員にするかパートタイムにするかなど働き方を決めるようにしましょう。
共働き家庭が円満に暮らすためのコツ
共働き家庭の悩みとしてよく耳にするのが家事の分担です。どちらか一方に家事の負担が集中しないように分担しなくてはなりません。
また十分に話し合ってどちらがどの家事を行うのかをきちんと決めたはずなのに、仕事や生活の変化でいつの間にかどちらかの負担が大きくなっていることもあります。
家事をスムーズに分担するためのコツを見ていきましょう。
・普段の家事を見える化する
普段の家事全般を見える化することが上手な家事分担につながります。まずは掃除や洗濯だけでなく日用品の買い出しや片付けなど日々の細かなことまでリストアップします。
リスト化が済んだら、それぞれの家事にかかる時間や頻度、労力について共有します。
夫婦2人ともが各家事の分量を把握していないと、自分と相手がそれぞれ何割くらいの家事を分担しているのか把握できずに不満につながることがあるかもしれません。
・家事分担について定期的に話し合う
家事分担を1度決めた後も、そのままにせずに分担について定期的に話し合いましょう。実際に取り組んでみると、お互いが思っていた内容と違う点があるかもしれません。
そして負担がどちらかに偏っているとわかったときには柔軟に再調整するようにしましょう。
また子どもの成長や転居、リモートワークの導入など生活や働き方の変化があるごとにその都度分担を見直していくことも必要です。
・お互いの得意不得意にあった家事を担当する
共働き家庭では、限られた時間の中でどうやって効率的に家事をこなしていくかということも重要になってきます。
得意な人が得意なことをすれば効率的で正確に家事をすることができますよね。お互いの得意不得意を考えた上で家事を分担しましょう。
・家事をしてもらったときは感謝を伝える
その家事をどちらかが担当しているとしても”やってもらって当たり前”と思ってはいけません。家事をしてもらうときは、相手に感謝の気持ちを表しましょう。
感謝の言葉を聞くことで、その家事を続けるモチベーションも上がっていくのです。
・相手の家事のやり方に口出ししない
家事を分担してやっていく上で気をつけたいのは、相手がやった家事に口出ししないことです。
相手のやり方が気になってしまうかもしれませんが、1度任せた以上は相手のやり方を尊重しましょう。
相手のやったことに口出ししてしまうと、やる気を失くされてしまいます。そうなってしまうと分担もうまくいきませんよね。
どうしても気になる場合は、その家事が終わったあとに丁寧に説明するなど相手の気持ちを考えた言動にしましょう。
・買い物はネットスーパーで
家の中で完結する家事と違って買い物に行くのは時間がかかりますよね。たくさん買ってしまうと持って帰ってくるのにも労力を使います。
買い物の時間と労力を減らすために、ネットで注文して商品を家まで届けてもらうネットスーパーを利用してみるのはいかがでしょうか。
ネットで注文すれば売り場で見た商品をつい買ってしまうということもなく、本当に必要なものだけを買うことができます。
また、家にいながらにして注文することができるので、食材の在庫もすぐに確認でき、まだ在庫があったのに重複して買ってしまったということもなくなりますよ。
・時短家電に頼る
現在は食洗機や洗濯乾燥機、ロボット掃除機など、便利な家電がたくさんあります。
また電気調理鍋や電気圧力鍋などを使えばほったらかしで調理をして、その間に他の家事をすることができます。
時短家電をうまく活用して家事のボリュームを減らすことを試してみましょう。
家族とコミュニケーションをとって円満な共働き家庭を
日本では共働き家庭が増えていて、現在では夫婦のいる世帯の約7割が共働きです。共働きはメリットも多い反面、実際は仕事を家事や子育てと両立していくのは大変なことです。
この記事を家族とコミュニケーションをとりながら家事や子育てと仕事の両立を実現するきっかけにしていただけたら幸いです。
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