「上手な叱り方」っていったいどんなものなのでしょう。子どもを叱ることは親の役目なので、やる気を損なうものではなく、子どもの成長に繋がるような伝え方をしたいですよね。子どもの心を育み、成長につながるように実践していきましょう!
子どもを叱らないといけない場面もある
命や安全を守るとき
子どもは突拍子のない行動をしたり、目の前のことに夢中になると周りが見えなくなってしまうもの。例えば道路に飛び出したり、火に興味を持って近づいたり、水遊びで思いがけない行動をとったりしますよね。このような場合はもしかしたら怪我ではすまされず、命を落とす危険だってあります。
近年では怒らない育児が注目されていますが、命や安全に関わるときは叱らないと子どもを守れません。小さいころから危険なことに対して叱られることで、少しずつ危険なことを学んでいきます。
正しく叱って、子どもの危機管理能力を高めることも大切なことです。
社会や道徳的ルールに反するとき
子どもはどんなところでも好奇心旺盛で、なんでも触ってみたいしどこでも遊びたい!という気持ちで行動します。親としてはその好奇心を育んであげたいと思いますが、同時に様々なルールを教えることも大切なことなのです。
例えばスーパーなど、たくさんの人がいる中で走り回ったり、他人や物を傷つけるような行為はやめさせないといけません。一番身近にいる親が叱って伝えてあげなければ、子どもはやって良いことと悪いことの区別がつきません。
お友達と遊ぶようになると、お友達を叩いたり蹴ったりなど身体的に傷つけることはもちろんのこと、言葉の暴力から心を傷つけることにも気をつけなければなりません。もしこのような場面になったら、相手が痛い思いをしていること、嫌がっていることをきちんと伝えて叱ることが必要です。
子どもを上手に叱る7つのポイント
①まずは子どもの気持ちを受け止める
私たち親に叱る理由があるように、子どもにもその行動をしてしまった理由があります。なぜそうしたのか聞いて、「〜したかったんだね」と受け止めてあげましょう。その後に「でも〜したら危ないからね」などと言うようにすると、子どもの自尊心を傷つけることなく伝えることができます。
②理由を伝える
理由なく頭ごなしに叱ると子どもは反抗的な態度になり、聞き入れてくれないことも。子育ては毎日のことなので、つい「〜しなさい!」と言いたくもなりますが、理由がわからないとまた同じことを繰り返してしまいます。
理由を伝えることと同時に、叱る内容をコロコロ変えないことも大切です。毎度叱られるたびに子どもが混乱しないように、主張には一貫性を持たせましょう。
③叱るときはその場で短く
なるべく叱るときはその場で叱りましょう。時間をおいてしまうと「なぜ叱られているのか」が伝わりにくくなってしまいます。特に乳幼児期はその場で短くが基本です。4才以降の子どもの場合は、周りに人がたくさんいるときや、お友達がいるときなどは子どもの心を傷つけてしまうこともあります。静かなところへいきそっと伝えるようにしましょう。
また叱った後はその空気を引きずらないことも大切です。子どもより先に親のほうから「よし!〇〇しよっか!」など次の行動を促して、気持ちを切り替えるようにしましょう。
④目線を合わす
保育園や幼稚園の先生が膝をついて、子どもと目線を合わせて注意する姿を見かけたことはありませんか?私はお迎え時などによく見かけます。目線を合わせて、きちんと向き合って伝えることはとても大切なことなのです。
とはいえ、筆者の場合、日頃子どもを叱るときには立ったまま叱ることが多く、毎回しゃがんで目線を合わせることはなかなかできていません…。
立ったまま叱るとそれだけで子どもに威圧感を与えてしまいます。子どもはそもそも叱られている、ということが嫌なのにさらに威圧的に感じると話が入ってきにくくなります。だからこそ目線を合わせて伝えた方が子どもにはずっと理解しやすいのです。
叱るなら無駄なエネルギーをつかうことなく、効果的に子どもに伝えたいですよね。ぜひ膝を落として目線を合わせて話してみて下さい!
⑤人格を否定する言葉はつかわない
叱るという行為は子どもに愛情をもってしつけをする、ということです。親のイライラやフラストレーションをぶつける行為ではないので、感情的になって子どもの心を傷つけるような言葉はつかわないようにしましょう。親に否定されたと感じると、子どもは自信を失ったりマイナス思考になったりすることもあります。
例えばその行動自体に「ダメ」と言うのはOKですが、「これができない◯◯ちゃんはダメだね」などとその子自身を否定しないように注意して下さい。
また、筆者の場合は「昨日もできてなかったよね?」や「お友達にみられたら恥ずかしいな」など過去との比較や他人との比較ワードもなるべくつかわないように心がけています。
子どもの心を傷つけたいと思っている親はいないはず。ついイライラする日もあるかとは思いますが、人格を否定したり、突き放すような態度をとらないように気をつけましょう。
⑥感情的にならない
子育てにイライラはつきもの。つい感情的に怒ることもあるかと思います。しかし、感情的になって大きい声など出して怒ると「怖い」という感情の方が先行してしまい、なぜ叱られるのかという理由がわかりづらくなってしまいます。
感情的になっても根本的な解決にはならないので、一呼吸おいてから、伝えるように心がけましょう。
また言い過ぎたな、今日は感情的になってしまったなと思ったら素直に謝ることも大切です。日頃子どもには「悪いことをしたらごめんなさいと言う」ということを教えているはずです。親だって間違ったら謝ることを身をもって教えることも大切なことです。
⑦改善したら褒める
子どもに改善が見られたら褒めることが大切です。叱られると子どもは少なからず悲しい気持ちになるものです。そんな中で間違いを正したり、できなかったことができたときは愛情をもって褒めてあげましょう。
そうすると、自分のことを見てくれている、と感じて自信に繋がったり愛情を感じたりできるでしょう。ぎゅっと抱きしめてあげるなどのスキンシップも効果的です。
叱る行為は子どもへの愛情があるからこそですよね。その部分を子どもにもきちんと伝えていく必要があるので、叱ると褒めるはセットだと考えると良いですよ。
上手な叱り方とは?怒るとの違いは?
叱ると怒るは違う
そもそも叱ると怒るは違います。叱るは相手の成長や間違いを正すためにする行動、怒るは感情をぶつける自分本位の行動、という違いがあります。
日頃子どもに対してつい「叱る」から「怒る」になっていないでしょうか?時にはなってしまうこともあると思います。そんな時は叱ると怒るの違いを思い出してみて下さい。
何度言っても伝わらない、子どもが感情的になる、そんなときは叱っていたつもりでも怒っていたのかもしれません。叱るということは子どもの成長のために愛をもって伝えることです。怒って感情的になっていては伝えたいことがうまく伝わっていない可能性があります。
叱る目的を私たち親が冷静に捉え、理解することが大切かもしれません。
叱った後のフォローが子どもを伸ばす!
叱る=愛情ということが子どもにも伝わると、子どもの様々な成長に繋がります。そのためには叱った後のフォローが重要。引きずらないこと、改善したら褒めること、あなたの為に叱っているよと伝えること、この3点がポイントです。
まずはきちんと叱る、それが終わったらその空気を引きずらずに切り替えましょう。声かけとしては「はい、このお話は終わりー!」「よし、ごはんを食べよっか!」などこちらから気持ちを切り替えられるように促して下さいね。
そして叱ったことができるようになったら思いっきり褒めましょう。これによって善悪の区別がつくだけではなく、子どもの自己肯定感も高まります。叱ると褒めるはセットだと理解すると良いかもしれません。
大切な存在だから叱ったんだよ、ということを伝えるともっと良いですね。叱りたくて叱っているのではなく、自分のためだったんだと子どもが理解できれば、肯定的に受け止めてくれるはず。叱ったあとはぎゅっと抱きしめてあげるのもおすすめです。
【まとめ】叱るのは子供の成長を願って!
叱るということは怒ることとは違い、感情的になることなく子どもの成長を願ってする行動です。つい、日々の子育てでイライラしてしまって感情的になってしまうこともあるかと思いますが、そんなときは叱る目的を思い出してみてください。
上手な叱り方を知り、実践することで子どもに伝えたいことが伝わりやすくなることでしょう。お互いに余計なストレスを抱えることなく、叱ることができればより一層子どもの成長が期待できそうです。
親の方もつい叱る目的を見失う日もありますが、ぎゅっと抱きしめて「大切だからだよ」って愛をもって伝えてあげたいですね!