親の頭を悩ませる片付け。「自分でできるようになって欲しい」「毎日ガミガミ言いたくない!」そんな悩みを持っている方も多いのでは?
今回は「自分で考え行動する子どもが育つ」と言われる、モンテッソーリ教育。この教育法を取り入れた、おうちで簡単にできる片付け方法を紹介します。
そもそもモンテッソーリ教育って何?
日本では、将棋の藤井聡太騎士が受けた教育として広く知られるようになったモンテッソーリ教育。世界では、Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、Amazonの創業者のジェフ・ベゾス、バラク・オバマ前大統領等々、名だたる著名人が受けてきており「著名人を多く輩出した教育法」とも言われています。
創始者はイタリア初の女性医学博士であり教育者のマリア・モンテッソーリ。医学、哲学、教育学、心理学、生物学等の様々な学問を背景に、子どもの家での実践と成果を元に生み出されました。100年以上前の教育法にも関わらず、世界では110以上の国で実施されており、現在も時代や文化を越えて支持され続けている教育法です。※子どもの家とは、1907年イタリアのスラム街にモンテッソーリが設立した施設。全てが子どもサイズで子どもが自分でなんでもできるような環境が整えられていた。
そのモンテッソーリ教育の特徴の中から3つ紹介します。
①子ども達が皆、持って生まれる「自己教育力」
「子どもはすべてのことができるように生まれてくるのです。もし、できないことがあるとすれば、物理的に不可能な環境にあるか、どうすればいいのか、やり方がわからないだけなのです。」というマリア・モンテッソーリの言葉にあるように、子ども達は「自分を育てる」ためのエネルギー「自己教育力」をもって生まれてきます。
大人の役割は、子どもが未熟だからと、なんでもしてあげたり、「やりなさい!」と命令する事ではありません。子ども達がこの「自己教育力」を充分に発揮していけるように、環境の準備をしていくことなのです。
②知っているか知らないかで大違い!「敏感期」
「敏感期」とは、もともとは生物学の用語。一つの発達を遂げるために、強い興味や関心が芽生える時期の事を言います。この時期の子ども達は、まるで恋をしたように一つの事に夢中になり、時期が過ぎるとそれまでの様子が嘘だったように興味を示さなくなります。
人間の「敏感期」は0〜6歳に集中しています。モンテッソーリ教育では子どもの敏感期の表れをキャッチし、その発達に適した環境の準備を行う事で、子どもの成長をサポートします。
③モンテッソーリの三角形
モンテッソーリ教育の基本は「子どもが主役」です。子どもが力を発揮できるように「環境」と「大人」がいます。
先ほどマリア・モンテッソーリの言葉にあったように、大人の役割は子どもが力を発揮し適切に成長していけるように環境を用意する事に尽きるのです。また、子どもの成長にとっても「環境」と「大人」は欠かせないのです。
モンテッソーリ教育から考える片付け
上記のモンテッソーリ教育の考え方をふまえて、今度は片づけについて考えて行きましょう!
①片付かない、片付けができない理由
片付かない大きな理由の一つとして「物の量の多さ」が上げられます。おもちゃ箱はいつもいっぱい…。ごちゃごちゃとした環境で、子ども達はどこに片づけるのが正しいのか判断することが難しくなります。
子どもが一人でできるようになるためにも「見て考えてわかる」環境作りが大切です。
②なぜモンテッソーリ教育法が片付けに役立つのか?
モンテッソーリ教育では、教具を使って活動をしていきます。教具は、子ども達が自分で選び、出して活動し、活動が終われば片づけて次の活動へ。この様に、大人から言わなくても自分たちで考え片づけながら活動していくのです。
「子どもが一人でできる環境づくり」を大切にする、モンテッソーリ教育だからこそ、子どもが自分で考え一人でできる環境を意識して作ります。その結果、子ども達は大人がいなくても自分たちで考えながら片付けをしていくことができるようになります。
③片付けができるようになるまで
子どもが一人でできる環境ができたら、即子どもが「片付け上手になるか?」と言うとそうではありません。何事も急にはできる様にはなりません。繰り返し繰り返し活動が定着するまでは、サポートが必要になります。
モンテッソーリの三角形にもてきた欠かせない物の「大人」の役割です。
モンテッソーリ式片付けのやり方
では今から、実際に片付けの仕方をお伝えします。ポイントは、大人が勝手にするのではなく、子どもと一緒に話ながらすること。大人もそうですが、一方的に押し付けられたものはなかなかやる気が起きません。自分で考えて自分で決めた!これがスムーズな片付け導入のポイントになります。
①物の量を減らす
現在おもちゃ箱にはいっているおもちゃは全てお子様が使用していますか?使っていないけど、実は大人の方が思い入れが強くて入れっぱなしの物等ありませんか?
STEP1:おもちゃ箱の中のおもちゃを3つに分けましょう。
①1軍・・・毎日遊んでいる、いわば常連のおもちゃ。
②2軍・・・現在はあまり使用していない。しかしこの先使用する可能性がある補欠のおもちゃ。
③3軍・・・まったく使用していない。捨てる、もしくは、お譲りできるもの。
※「捨てるもの」と言うとなかなか選べない場合は「お譲りするもの」と思って分けてください。
STEP2:おもちゃの量を減らします
①1軍・・・棚に配置します。(方法は次の項目で紹介)
②2軍・・・衣装ケース等に入れて押し入れの中へ。子どもの目につかない所に片づけます。
③3軍・・・御礼を言ってお別れしましょう。
※2軍か3軍か怪しいものは、2軍と一緒に押し入れに収納します。子どもから半年たっても「あのおもちゃ出して!」と言われなければ3軍になります。
補足:モンテッソーリ園では子どもの発達に合わせて、棚を入れ替えます。日々成長する子ども達、家庭のおもちゃも一回分けたら終わり!ではなく、定期的に見直していきましょう。
②出し入れしやすくわかりやすい収納
いよいよおもちゃを並べていきます。ごちゃごちゃに箱に入れるのはNGです。箱に入れる場合は、分類に分けて。全てのおもちゃに定位置を作り、どこから出して、どこに帰るのか?子どもが目で見てわかるようにしましょう。
参考として、幼稚園や保育園、児童館等のおもちゃも、自分たちで出して片付けられる様に工夫されていることが多いので、遊びに行った時に観察してみるのもおすすめです。
また引き出しや、箱に蓋を付ける等、おしゃれな収納法はおすすめしません。理由は片付けが複雑になるからです。子どもが自分で片づけられる様になるためには、できるだけ「シンプルでわかりやすく、片づけやすい」を大切にしてください。
モンテッソーリ園では、取り出しやすいようにトレーに入れて棚に並べられています。
③定着するまでは子どもと一緒に。
環境を準備したら終わり!ではなく片付けが定着するまでは子どもと一緒に片付けをしてくださいね。「なんでできないの!?」「片付けなさい!!」等、怒り、一方的に片付けをさせると、その場では片付きます。しかし子どもの心の中に「お母さんが怒るから片付けをする」という想いが定着し、長期的に見ると、「お母さんがいないと片づけられない。」そんな子どもに育ってしまいます。
子どもが自ら片付けができる様になるために、「怒る」のではなく「肯定的な言葉かけをしながら」片付けをしていきましょう。
終わりに
みなさんの頭を悩ませる片付け。しかし、子どもに合わせて、環境を整え関わり方や声掛けを変えるだけで「自分でできる」に変える事ができます。
是非お子様と一緒にモンテッソーリ教育を取り入れた片付けを実践してみて下さいね。