子どもが成長する時期に家庭にペットがいると、子どもは優しく、強く、健やかに育つことは、すでによく知られています。
子どもの成長過程にペットが果たす役割については、1980年代から情操教育(心を育てる)に良いことが科学的に検証されています。
しかし具体的にはどんな役割があるのか、詳しく知っている方は多くないでしょう。
そこで、東京都立大学名誉教授である星旦二氏の著者「ペットがもたらす健康効果」を参考に、ペットが子どもの情操教育にどのように良いのかを掘り下げていきたいと思います。
【幼少期】ペットとの暮らしが思いやりの心を育て、認知機能を発達させる
ペット飼育による知能指数や思いやりとの関係について、2つの研究を見ていきましょう。
対象・内容 | 結果 |
幼稚園児に対して、ペットを飼っている子どもと飼っていない子どもを比較 | 知能の向上を示す知能指数にはさほど関係はないが、ベットを飼育している子どもの方が、思いやりの心がより育まれ、周囲の子どもたちにも影響する
※引用:人と動物の関係学研究チーム編著「『ペットがもたらす健康効果』株式会社 社会保険出版社 2020年発行 p.22」 |
保育園児12人に対して、クラスに本物の犬を置いた場合とぬいぐるみの犬を置いた場合を比較 | ・本物の犬の場合、子どもたちは犬に触ったり話しかけたりして、親密な関係が生まれた
・自ら目的を達成しようとする気持ちが子どもたちに生まれ、先生があまり指導をしなくても良いという結果が出た (この反応は、ぬいぐるみの場合には見られなかった) ※引用:人と動物の関係学研究チーム編著「『ペットがもたらす健康効果』株式会社 社会保険出版社 2020年発行 p.23」 |
つまり、幼少期にペットがいると、子どもたちの思いやりの心を育て、認知機能を発達させることが研究により証明されたのです。
【学童期】動物や人に対して思いやりの感情を育む
ペットとの社会的・精神的な位置関係についての実験結果を見ていきましょう。
対象・内容 | 結果 |
イギリス・ミッドランドに住む7〜8才の小学3年生22人に、人や動物が描かれたカードの中から好きなカードを10枚選ばせて、そのカードの絵からイメージを広げて物語を創作させる | ・ペットとの関係は人との関係よりも大切にされ、特に犬や猫は精神的な支えとなっている
・ペットは子どもたちの悩みを解消したり、やわらげたりする力を持っている |
スコットランド地方に住む7〜12才の子どもたち1,000人以上に調査 | ・ペットを愛している(80%)
・ペットがいると幸せ(83%) ・ペットは最愛の親友(76%) ・いなければ寂しい(62%) ・自分が不機嫌なときにペットはそれに気付いている(52%) ⇩さらに詳しく調査 ペットと過ごす期間が長くなると、動物に対して、より思いやりのある行動ができるようになることが分かった |
また、イギリスの横断研究によると、ペットを飼育する子どもたちには、動物に関する友情や思いやりの感情が育まれ、感情面の成長は、ペットとの関わりが強いほど大きいという結果も出ています。
※引用:人と動物の関係学研究チーム編著「『ペットがもたらす健康効果』株式会社 社会保険出版社 2020年発行 p.24」
【思春期】自尊心と責任感を高め、社会的な適合力を早く身につける
思春期に関する研究結果も見てみましょう。
対象・内容 | 結果 |
米国ミシガン州で、10〜14才の子どもがいる285の家族(うち、89.4%にペットの飼育経験あり)を対象に行った研究 | ・ペットを飼育している子どもは、自尊感情(自信)を得やすく、飼育しているのが犬の場合、特にその傾向が強い
・犬、馬、魚、鳥を飼育すると、責任感が強くなる |
クロアチアの小学4年生〜8年生を対象に行ったアンケート調査 | ・犬を飼っている子どもたちは飼っていない子どもたちよりも思いやりがあり、社会的背景が良好でペットへの愛情が強い
・特に猫の飼い主はペットに対する愛情が強く、ペットへの愛情が強い子どもは思いやりが深く、社会への適応力が著しく発達している ・ペットへの愛情 男の子よりも女の子の方が強い 低年齢の方が強い ⇩結果として 低学年からペットを飼育すると、より心の成長に繋がり、社会的な適合力も早くから育つ |
さらに、前出のミシガン州の調査では、ペットを飼ったり失ったりしたことで影響を受けたと答えた子どもは9割に達しました。
ペットがいる家庭は経済的に豊かで、多くの場合、子どもと両親の関係は良好です。
思春期の子どもがいる家庭でペットを飼うことは、大きな利益をもたらすといえるでしょう。
※引用:人と動物の関係学研究チーム編著「『ペットがもたらす健康効果』株式会社 社会保険出版社 2020年発行 p.25」
ペットとの死別は「命は永遠ではない」ことを学ぶ尊い機会
一般的に、ペットの寿命は15年で、長くても約20年前後です。
愛するペットと共に過ごす中で、多くの子どもたちは思春期にペットの死を迎えることになりますが、これにもまたメリットがあると考えられます。
核家族化により、子どもたちは身近な人の死をめったに体験しません。
思春期にペットの死を迎えることは、愛する家族の一員を失うという悲しい経験ではありますが、death education (死の受容と望ましい対処のための準備教育)として、「命は永遠ではない」ということを学ぶための貴重な機会と捉えることもできます。
ペットの飼育は子どもの精神面や情緒的な成長と安定につながる
子どもの成長過程にペットが果たす役割はとても大切です。
子どもたちはペットに対し、人間同士以上の親近感を抱きます。
幼いころから動物を飼い、触れ合うことは、子どもたちに動物を思いやる心や周囲の人へ配慮する心を育むでしょう。
※引用:人と動物の関係学研究チーム編著「『ペットがもたらす健康効果』株式会社 社会保険出版社 2020年発行 p.26」
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