和の雰囲気をもつ、昔ながらの日本家屋によく見られた縁側。ひなたぼっこをするネコやお茶を楽しむお年寄りを連想する人も多いのではないでしょうか。そんな縁側を取り入れた家づくりがしたい、という方も多いようです。そこで今回の記事では、縁側の種類やウッドデッキとの違い、縁側にどんな役割や魅力があるかについて詳しくご紹介します。
縁側とは?くれ縁・濡れ縁・ウッドデッキとの違いは?
「縁側」とは部屋と屋外との間にある板張りの通路のようなところで、日本家屋に見られる独特な構造です。縁側にはいくつかの種類があり、「くれ縁」「濡れ縁」はそれぞれ縁側の種類のひとつです。
くれ縁とは雨戸や窓の内側につくられた縁側のことで、家の一部として設置されており、屋根の内側にあります。雨が降っていても濡れることがなく、雨の日にも外の景色を眺められます。また、広いくれ縁のことを「広縁」と呼び、イスやテーブルなどの家具を置いてくつろぎの空間としても使えます。
濡れ縁は、壁や雨戸の外側につくられた縁側のことで、雨風にさらされて濡れることからこのように呼ばれています。家の床と庭の地面との高低差があるので、出入りするための踏み台としても利用されます。家の濡れ縁の中には、家に固定されておらず独立しており、掃除の際に移動できたりする場合もあります。京町屋では、折り畳んだりできる、通称「バッタリ床几(しょうぎ)」も見られます。
濡れ縁であれば、ホームセンターなどで既製品を購入したり、DIYで木製の縁台を制作するのも良いでしょう。
一方のウッドデッキは、庭の一部を地面よりも高くして舗装したスペース(テラス)のことで、この床面を木材で仕上げたものをこのように呼びます。スペースが広い場合には、バーベキューやガーデニングなどが楽しめます。
縁側の魅力や役割を紹介!
縁側の役割は、廊下や屋外への出入り口だけではありません。くれ縁である場合、省エネ効果や部屋を広く見せる視覚的効果が期待できます。また、家族や友人が集まる憩いの場としても大いに活躍します。ここではそんな縁側の魅力や役割についてご紹介します。
快適な温度に省エネ効果
縁側がつくる空間は、1年を通して部屋を快適な温度に保ち、省エネに大いに役立ちます。特に夏場は直射日光を遮り、室内温度が上がるのを防ぐので、冷房費の節約になります。また、冬場は冷気を遮りつつ、暖かな日だまりができるためサンルームのような役割を果たします。
家族が集まるスペースになる
縁側は天気のよい日は軒先で日なたぼっこをしたり、庭の景色を眺めながらお茶を楽しんだりなど、日本では古くから団らんや憩いの場として親しまれています。玄関付近に縁側がある住まいの場合には、ベンチのように座って会話をしたり、来客スペースとして近所の人たちとの気軽なコミュニケーションスペースとして大活躍します。
また、縁側と庭を使ってバーベキューや焼き芋をしたり、猫や犬などのペットと触れ合ったり、気分転換にからだを動かしたり、子どもにとっては格好の遊び場になります。さらに春は縁側から庭の花や木々を眺めたり、夏は縁側に座って花火で遊んだりするのもいいでしょう。秋のお月見や冬の雪見など、縁側は庭を眺めるのにちょうどいい場所であり、風を感じて四季を楽しむのにぴったりなスペースです。
ほかにも梅雨の時期や雨風の強い日には、洗濯物を干すのに大変便利です。外に干すのと違って、外出時に急に雨に降られても濡れる心配がありません。洗濯を干して障子を閉めれば、外部からの目隠しもでき、急な来客対応にも最適です。
このように便利で使い勝手のいい縁側は、コミュニケーションスペースをはじめ、あらゆる活用が期待できる場所なのです。
部屋を広く見せる効果がある
縁側は部屋と同じ高さに設置することで、部屋を広く見せる効果があります。特に縁側と部屋の床材、雰囲気を統一させると、より部屋と縁側の一体感が増して開放感のある広々とした空間に見えます。さらに広縁を設けて扉や窓を開けっ放しにすれば、アウトドアリビングとして使えます。
縁側を設置する欠点はある?
縁側を設置するには十分なスペースが求められ、縁側に合った広めの庭をつくるとなるとさらに土地が必要になります。そのため、縁側を設置するにはある程度の土地が必要であり、土地代や固定資産税などのコストがかかります。
庭を眺められるように縁側を設置した場合、庭の定期的な手入れが必要です。せっかく縁側から庭の風景を眺めても、庭の草木が生い茂って荒れ放題になっていたり、逆に枯れ果てていたりしたらよさが半減してしまいます。ガーデニングなどが趣味ならいいですが、草木は定期的な手入れが必要なため、手間や費用がかかることをあらかじめ頭に入れておきましょう。
縁側は部屋と庭をつなぐ空間であり、近所とのコミュニケーションスペースとして使いやすい場所です。しかし、その分、防犯面がおろそかになってしまうことも。そのため、縁側をつくる際には、防犯やプライバシー保護の面から道路や近隣から内部の生活や暮らしがさらされないように壁をつくったり、設置する場所を工夫したり、防犯対策のされた窓やドアを使用するなど、十分な対策が必要です。
おわりに
縁側には省エネ効果があったり、コミュニケーションを深めてくれたりとたくさんの魅力や機能がつまっています。生活スタイルの変化などで最近では和室などと共に見かけなくなってきた縁側ですが、現代の住宅にぴったりと合うモダンな縁側も見受けられます。ぜひ、縁側が気になる方は、新築やリノベーションの際に縁側の設置を検討をしてみてはいかがでしょうか。