家を建てる土地を探す際の条件といえば、「立地や周辺環境が良いこと」「予算に見合った価格であること」「地盤がしっかりしていること」などがあげられます。家を建てるなら、地盤の安全性はしっかり確認しておきたいものです。そこで今回は、安全な土地選びのポイントに着目し、家が傾きを起こす不同沈下の原因、地盤調査の必要性についてご説明します。
安全な土地選びのポイント
住まいの安全性を考えるなら、地盤の安定した土地を選ぶことが大切です。
地盤の弱い軟弱地盤の土地に家を建てた場合、年月を経て家が傾いてくる可能性があります。建物が傾いてビー玉が勝手に床を転がるという現象の他にも、家が傾いてくると、外壁のひび割れやドアの開閉不良などを起こしかねません。さらに、めまいなどの体調不良や、使い勝手の悪さが原因でケガをするといった、健康被害の発生も懸念されます。
このような事態を防止するために、強固な地盤の土地を選び、安心して暮らせる家を建てましょう。地盤がしっかりしていれば、万が一地震などの災害に見舞われた際にも、崩壊などの大きな被害を受けるリスクを減らせるでしょう。
家が傾きを起こす「不同沈下」の原因とは
地盤の弱い土地に家を建てたことで、家がふぞろいに傾いてくる現象を「不同沈下」といいます。不同沈下が起こる主な原因は、以下の3つです。
荷重に偏りがある
不同沈下の原因の1つとして、片側に荷重が偏ってしまうケースが考えられます。地盤の弱い土地に家を建てた場合でも、均等に荷重が掛かれば安定します。しかし、重さの配分に大きく偏りがあると地盤の一部分が沈下し、家の傾きにつながってしまうのです。
盛土の転圧が足りない
もともとの土地に傾斜やおうとつがある場合、家の基礎を作る前に土地を平坦に整地します。整地する際に土を盛る、盛土を施しただけの土地は強度が足りないため、「転圧」という土を締め固めて強化する作業を必ず実施します。
しかし、この転圧作業がじゅうぶんに行われていないと、地盤の一部分の強度が劣り、不同沈下を起こす可能性があるのです。
盛土と切土が混在している
傾斜地や山を切り崩して平らな土地が作られることがあります。
表面からは同様の地盤に見えても、土の中では盛土と切土が混在している状態です。地盤改良を行わないまま盛土と切土が混在した土地に家を建てた場合、地盤の強度に差が出てしまい、不同沈下の原因となります。
地盤調査が必要な理由とは
「ここに家を建てたい」と思う土地が見つかり、実際に家を建てるとなったら、地盤調査を必ず行いましょう。
なぜ地盤の調査が必要なのかを、以下にまとめました。
災害時の危険を回避する
土地の状態を目で見ただけでは、地盤そのものがどのような状態かを知ることはできません。だからこそ、地盤調査を行い専門家に判断してもらうことが大切です。
また、最初は異常がなくても年月を経て傾きが生じてくることもあります。
地盤の異常に気付く前に災害が起これば、危険にさらされる可能性もあるため、地盤を調査することは大変重要なのです。
コスト面での負担を抑える
家を建ててから地盤の異常に気付いて改修する場合、コストが高くついてしまいます。
また、地盤調査の段階で地盤の弱い土地であることがわかったとしても、調査の結果の値に応じた基礎にしたり、補強や改良工事などを施すことにより、安全な家づくりができます。
家を建てる前に地盤調査を行っていれば、補強工事の費用も考慮したうえで、建築プランを組むことができるのです。
おわりに
今回は、安全な土地選びのポイントについてご紹介しました。
日本は地震や豪雨などの自然災害が多い国であり、地盤の弱い土地は多いといえます。安心して暮らせる住まいを手に入れるには、地盤に関する正しい知識が必要です。家を建てる土地を選ぶ際には、立地や周辺環境のみならず、不同沈下や災害時にも耐えられる地盤かどうかもよく検討して決めるようにしましょう。