1日に何回、何十回も使用するドアや戸などの建具ですが、どのようなタイプを設置するかによって、使いやすさや住み心地が変わります。理想的な住まいにするためにも、建具のタイプや特徴を理解することが大切です。
この記事では、建具の種類の1つである引き戸のメリットやデメリット、開き戸との違いについて解説します。
引き戸とは?開き戸との違い
「引き戸」とは、溝(レール)の上をスライドさせて開閉する戸のことです。溝は床にあるものが多いですが、戸を上から吊る上吊り式のタイプのものもあります。
玄関やリビング、洗面所など家のさまざまな場所に採用されています。簡単に戸を開閉できるので、バリアフリーにしたい箇所にも向いているでしょう。
また左右に動く引き戸に対し、蝶番(丁番)などの金具を軸にして、扉が前後に開閉するタイプの戸を「開き戸」と言います。
引き戸の種類ごとの違い
引き戸は、「片引き戸」「引き違い戸」「引き分け戸」「引き込み戸」の4種類に分けられます。戸の枚数や、必要なスペースに違いがあり、設置に向く場所も異なります。以下に、それぞれの特徴を説明します。
片引き戸
片引き戸は、片側に開閉するタイプの戸です。壁に戸をスライドさせるためのスペースが必要です。戸は1枚の場合が多いですが、2枚以上の戸が連動するものもあります。最もシンプルかつオーソドックなタイプの戸です。
リフォームやDIYで開口部に後付けする場合や開き戸を引き戸に交換する場合には、設置場所は限られますが、壁の外側に上吊り式のレールを取り付けるアウトセット引戸なら、他の室内建具と比べて施工は比較的容易です。
引き違い戸
引き違い戸は、2枚の戸と2本の溝で構成されたタイプです。どちらの戸も左右に動くため、利き手に関係なく楽に開閉できます。押入れなどの収納スペースにも利用されており、取り出したい物の位置に応じて、開ける戸を選べるのが便利です。
また3枚以上の戸で構成される引き違い戸も存在しており、それらは戸の枚数に合わせ3枚戸や4枚戸と呼ばれています。必ず複数の戸と溝やレールを使いますので、片引き戸よりもスペースは必要です。
引き分け戸
引き分け戸は、中央から2枚の戸を溝やレールに沿って両側にスライドして開閉するタイプの戸です。基本的に、溝やレールは1本です。ただ両側にスライドするため、片引き戸よりもスペースを要します。間仕切りによく用いられており、戸を開いたときの開放感が特徴的です。
引き込み戸
引き込み戸は、壁の中に戸袋があるタイプの戸です。雨戸にもよく用いられています。戸袋に戸を収納できるため、室内がスッキリします。
片引き戸では、スペース部分の壁に家具を置いたりはできませんが、引き込み戸なら、戸袋のある壁も通常の壁のように使えるのが便利です。ただし、戸袋の中の部分は掃除しにくいのが難点と言えるでしょう。
引き戸を設置するメリット
引き戸には、どのようなメリットがあるのでしょうか?比較されることの多い開き戸との違いに注目しつつ、考えてみましょう。
スペースを有効活用できる
戸を前後に開閉する開き戸の場合は、戸の開け閉めの邪魔にならないように、戸を半径にした扇形のスペースを空けておく必要があります。そのスペースは、開閉時以外は使用することがないデッドスペースになってしまうのです。
しかし引き戸は、戸を左右にスライドさせるだけで開閉できるため、デッドスペースが減り、スペースを有効活用しやすいでしょう。
開閉がしやすい
引き戸は、開き戸のようにドアノブを握る必要はありません。把手を引くだけで済むので、子供や高齢者、車椅子を利用している人も楽に開閉できます。こうした開閉のしやすさを理由に、子供やお年寄りの部屋や、バリアフリーにしたいところ、頻繁に通るところに引き戸を採用する方もいます。
開け方を好きなようにできる
状況に合わせて開き具合を加減できるのも、引き戸の大きなメリットです。開き戸のようにストッパーを使わなくても、開けっ放しにしておくこともできます。そのため、両手が塞がるような物を部屋に持ち運ぶときにも便利です。
引き戸なら換気のために少し開けても、開き戸のように風で勝手に閉まることも少ないでしょう。また、玄関を引き戸にすると、網戸を使って換気するのも容易です。
引き戸を設置するデメリット
利便性の高い引き戸ですが、デメリットもあります。引き戸を採用することを検討している方は、その点を踏まえて設置箇所を決めるとよいでしょう。
音が出やすい
引き戸は開閉する際の音が出やすいのが特徴です。寝室に引き戸を付けると、夜中に出入りする際に、周囲の人を起こしてしまう場合があります。
また、開き戸よりも隙間が大きくなるため音が漏れやすい特徴もあります。寝室や客間など防音や遮音が必要な部屋には、あまり適していないかもしれません。
扉を強く引いても、閉まる直前で勢いを弱めることができる「ソフトクローズ」の機能がある引き戸なら、閉まる時の「バタン」という衝撃音の緩和や指を挟むケガの防止に役立ちます。
比較的気密性が低い
引き戸には扉と壁の間に隙間ができるため、防音性だけでなく気密性も低いという特徴があります。部屋の外の空気が入りやすくなるため、冷暖房の効果が薄くなる場合もあるでしょう。
通気性のよさは脱衣所や洗面所など湿気をこもらせたくない場所には向いていますが、部屋によってはデメリットになりますので、注意が必要です。
引き戸用の戸車とレールの種類
溝やレールの上をスライドさせて開閉する引き戸ですが、室内建具では床から凸状に出たレールのタイプが以前は多く利用されていました。現在は横断する際に支障が少なく、バリアフリーに適したように床にレールを埋め込んだ掘込みタイプの下レールが主に利用されています。次に主な戸車とレールのタイプをご紹介します。
V型・・・レールを床の中に堀り込んで取付けるタイプです。レールの溝と戸車の車輪の接地面がV字の形状をしています。
Y型・・・V字の形状のレールの溝にさらに脱輪を防止する溝があるタイプです。
T型・・・水平の接地面に脱輪を防止するガイドがあるタイプです。脱輪を防止するガイド部分は床の中に堀り込んでいますが、車輪の接地面は床から出ているタイプです。
丸型・・・従来から利用されてきた断面がかまぼこ型の甲丸レールを使用します。レールが床から突き出たタイプで、戸車の車輪は中央が窪んだ形状をしています。
平型・・・戸車はレールがなく溝の上をスライドするタイプです。戸襖などに用いられます。
おわりに
引き戸には開き戸に比べて、デッドスペースが減り、誰にでも開けやすく、開き具合も調整しやすいといったメリットがあります。一方、音が気になりやすく、気密性がやや劣るというデメリットもあり、注意が必要です。
また、引き戸の中にも4つのタイプがあるので、特徴をつかんで上手に活用しましょう。
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