マンションなどの集合住宅では、子どもが室内を走りまわる足音や、遊んでいる音が下の階に響いてしまうことを心配する方は多いと思います。騒音が原因となるご近所トラブルは避けたいですよね。今回は子どもがいる家庭で取り組める防音対策を解説します。
なぜ生活音が伝わってしまうのか
マンションやアパートなどの集合住宅に住んでいる場合、上の階の住人の足音や、隣に住んでいる人の声などが気になることがありますよね。
実は音の聞こえ方や響き方には大きく分けて2種類あります。ひとつが、足音など床や壁を介して伝わるもの、もうひとつは話し声やテレビの音など空気を介して伝わるものです。
またこれらは家の素材や構造によっても伝わり具合が変わります。防音性能の高いものから、鉄筋コンクリート、鉄骨、木造の順となるので、構造から気を配りたい場合は、購入検討の際に担当者に確認してみると良いでしょう。
話し声などは家の窓を閉めたり窓から離れるなど、距離に注意することで伝わりにくくなります。しかし防音対策が難しいのが、床や壁などが振動して伝わる生活音です。
近所にどの程度まで生活音が漏れているかは、案外自分たちでは気づきにくいもの。また聞こえてくる音を許容範囲ととらえるのか、我慢できないほどの騒音と感じるのか、その基準も人それぞれです。
例えば、電車の中で赤ちゃんが泣き出してしまったとき「赤ちゃんが泣くのは仕方のないこと。うるさいとは思わない。」と思う人もいれば、「静かな車内に響く泣き声は大迷惑だ。」と感じる人もいるでしょう。
そのため隣近所との認識のズレがあると、ご近所トラブルにも発展しかねません。会ったときには挨拶をするなど、普段から最低限のマナーや礼儀を心がけて過ごしておくと良いかもしれませんね。
子どもがいる場合の生活音は本当に騒音?
子どもがいる生活と騒音問題は、切っても切れない悩みごとのひとつかもしれません。子どもが活発で元気に過ごすことは嬉しいですが、家の中で興奮して走り回ると、どうしても騒ぎ声や足音が近所迷惑にならないかと親としてはヒヤヒヤしますね。
ここではまず、子どもが原因の騒音について、親のイライラを減らす考え方をご紹介します。
まず、「子どもは自分の目の前の事しか見えていない」ということを知っておきましょう。つまり子どもは自己中心的な生き物である、くらいにとらえておくということです。
ピアジェの4つの発達段階をご存知でしょうか。これによると、2〜7才では共感力などは未発達、自己中心的な思考や行動を取る時期とされています。7〜11才頃になってようやく、相手の立場に立ち、相手の気持ちを考えて行動できるようになってくるそうです。つまり、まだ自己中心的な思考の発達段階にいる子どもに向かって「下の階の人に迷惑だから家の中でジャンプしないで」といくら怒ったところで、子どもには到底理解できないのです。
だからといって、好き放題やらせて良いわけではなく、社会のルールや秩序を教えていくことは大切です。しかし、親である私たちが、自分の子どもが現在どの発達段階にいるかを知っておくだけで、家の中を無邪気に走り回る姿を見たときのイライラが少し和らぐかもしれません。
おすすめ防音グッズ
子どもがいる家庭で、特に下の階への配慮としてよく使われるのが、防音効果のあるジョイントマットやカーペットです。
最近では100円ショップでもジョイントマットが売られていることもあり、安価で購入しやすいものが増えてきました。0〜1才の赤ちゃんがいる家庭では防音対策というよりも、転倒への備えや寒さ・暑さへの対策として、割と早いうちからクッション性のあるマットを取り入れている家庭も多いのではないでしょうか。
しかしジョイントマットだけでは防音効果はそこまで期待できず、実際、部屋中にマットを敷き詰めているのに下の階の住人から苦情があったという話も耳にします。
防音対策にはマットやカーペットの厚みと重さが関係します。ボールペンやスプーンなどの小物を床に落とす場合と、子どもが高さのあるところからジャンプで飛び降りる場合では、下に伝わる振動が大きく異なるのは容易に想像がつきます。やはり子どものいる生活で気をつけたいのは走り回る音や飛び跳ねる音ですので、厚みがありかつ一定の重さのある対策グッズでなければ十分な効果が得られないかもしれません。
騒音レベルに関しては、デシベルという音の大きさを表す単位を用います。一般的な住宅の昼間の理想数値は約55デシベルと言われている一方、何気ない生活音の中にはこれを超える音を発するものが意外と多くあります。
例えばテレビ、洗濯機、掃除機などは60〜70デシベル、子どもの足音も60デシベル前後、車のアイドリングは70デシベル、ピアノの練習音は80〜90デシベルと、日常生活の音の中には、他人にうるさいと感じさせてしまう音が結構ありますね。
防音効果のあるマットやカーペットには約10〜20デシベルほど騒音レベルを下げる効果があるので、理想数値の55デシベルまで近づけることが可能です。音を完全に消すことはできませんが、気にならない程度まで小さくすることは十分に期待できるというわけです。
防音効果の敷物には、ハサミやカッターでカットして部屋に敷き詰めることができるタイルタイプや、ソファーやピアノの下など部分的に使いたいときに活用できるカーペットタイプがあります。単体で使うことも可能ですし、既にお使いのジョイントマットやカーペットの下に敷いて重ねることでさらなる防音効果を期待できます。
もっと簡単にできる対策としては、靴下を履いて過ごす、防音スリッパを活用するなどもあります。日常生活に不便があってはいけませんが、無理のない範囲でできる配慮は心がけていきたいですね。
戸建てで活かせる防音対策
ここまではマンションなどの集合住宅をイメージしてお伝えしてきましたが、戸建ての場合にも自分達の生活を快適にするために、音に対してさまざまな対策が必要となる場合があります。
例えば、二世帯住宅、音楽関連の趣味がある、大通りや線路の近くに住んでいて外の音が気になるなど。戸建ての場合は、建築の段階からもいくつかの防音対策をすることが可能です。
先にお伝えしたように、防音性能の高い鉄筋コンクリートを選択するのもひとつです。また、遮音材、吸音材といったものを床、壁、天井などに利用する方法もあります。機密性、断熱性を高くすれば遮音性も高まるため、外壁に高機能の断熱材を施すなどの工夫も可能です。
また、楽器を演奏するような部屋で重宝されるのが二重サッシです。これは窓そのものを二重に取り付け、防音の他にも断熱性が増したり結露予防に役立つほか、防犯対策としても有効的です。
その他、防音マットや防音シート、防音カーテンを使用する、静かな環境で寝られるように家族が集まるリビングと寝室を遠ざけた間取りにするなどの工夫もできますね。
気密性が高いと防音効果がある!?
「気密」という言葉をご存知ですか?
気密とは、「空気が流れ出さないように密閉する」ことを言います。住宅にあてはめると、家の隙間をなるべく小さくすること。このように、屋外からの隙間風を最小限に抑えた住宅を「高気密住宅」と言います。
例えば、一般的な住宅では家の隙間を集めるとA4ノートくらいの隙間があると言われていますが、高気密住宅ではハガキ半分ほどの隙間まで小さくすることができるそうです。※1,2
高気密住宅は、断熱性だけではなく防音効果も高いと考えられています。
まずは、隙間から外部の音が侵入してくる心配が少ないこと。そして逆の内部の生活音も外に漏れにくいと考えられるからです。
隣家と近接している、道路に面している、など家を建てる場所によっては気密性の高い住宅が望ましいですね。
※1 地域・仕様・プラン形状などにより、数値が異なります。保証する数値ではありません。
※2 一般的な住宅とは約35坪の場合を想定しています。
まとめ
生活していく上で、音を完全に消すことは不可能です。だからこそ、できる限りの工夫をした上で、あまり神経質になりすぎないという心の持ち方も大切かもしれません。誰もが気持ちよく過ごせる生活環境を心がけながら、これからも子どもの成長を温かく見守っていきたいですね。
監修:アイフルホーム
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