離乳食を始めるのに、不安や疑問を抱えているママはたくさんいます。ここでは、離乳食インストラクターの資格を持ち、ママだけでなく、保育士や調理師などの専門家に向けた講座も開催している筆者が、離乳食について、初期・中期・後期・完了期ごとの進め方やおすすめレシピなどをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
離乳食とは?いつから始める?
離乳食とは、母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程で与えられる食事のことを言います。[*1]
つまり、母乳やミルクなどを「吸う」から、食べものを「食べる」ための練習期間だと言えます。
離乳食を始める目安
離乳食の講師をしていると、生徒さんから「離乳食を始めるタイミングに迷っています」というお悩みをよく聞きます。そこで、離乳食を始めるタイミングのサインや目安をいくつかお教えします。
- 生後5~6ヶ月頃
- 首がすわり支えると座れる、寝返りを始める頃
- よだれの量が増え、食べ物に興味を示す
- スプーンを口にあてても舌で押し出さない
- 授乳時間が一定になってきて、生活リズムが整ってきた
全部に当てはまらなくても大丈夫ですが、1つ目の「生後5〜6ヶ月頃」というのは守りたい目安のひとつ。
赤ちゃんの成長は個々に違いますが、月齢は内臓機能発達の目安になります。守るようにしましょう。
離乳食の進め方早見表
初期(5~6ヶ月頃) | 中期(7~8ヶ月頃) | 後期(9~11ヶ月頃) | 完了期(12~18ヶ月頃) | |
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離乳食の固さ目安 | ヨーグルト状 | 絹ごし豆腐 | 熟したバナナ | バナナ |
食べ方の目安 | ・1日1回 ・まずは1さじから始める ・母乳や育児用ミルクは欲しがるだけ与える | ・1日2回の食事のリズムをつける ・さまざまな味や食感に慣れることを目指す | ・3回食に進む ・手づかみ食べを通して自分で食べる練習を始める | ・1日3回の食事のリズム、そして生活リズムを整える ・手づかみ食べや食具を使って、食べる楽しみを知る |
調理形態 | なめらかにすりつぶした状態 | 舌でつぶせる固さ | 歯ぐきでつぶせる固さ | 歯ぐきで噛める固さ |
離乳食1回分の目安量 | 10倍粥:30~40g ビタミン・ミネラル:15~20g タンパク質:豆腐25g・肉や魚5~10g | 7倍粥:50~80g ビタミン・ミネラル:20~30g タンパク質:豆腐30~40g・肉や魚10~15g・卵黄1~全卵1/3 | 5倍粥〜軟飯:80~90g ビタミン・ミネラル:30~40g タンパク質:豆腐45g・肉や魚15g・全卵1/2 | 軟飯〜普通飯:80g ビタミン・ミネラル:40~50g タンパク質:豆腐50~55g・肉や魚15~20g・全卵1/2~2/3 |
授乳回数と離乳食の頻度 | 授乳:6回〜8回 離乳食:1回 ※離乳食開始1ヶ月後に2回 | 授乳:5回〜6回 離乳食:2回 | 授乳:3回〜5回 離乳食:3回 | 授乳:2回 離乳食:3回 |
食材例 | お粥 いも類 絹豆腐 白身魚 | 初期の食材に加えて 豆腐 納豆 赤身魚 鶏ささみ | 初期中期の食材に加えて きのこ類 海藻 青背魚 牛赤身 | 徐々に大人と同じ食材が食べられるようになるが、 ・味の濃いもの ・刺激の強いもの ・油っこいもの は控える |
※回数や量はあくまで目安ですので、参考程度にしましょう。
離乳食を進めるときに注意したい食材
赤ちゃんは、口の発達や内臓機能が未熟です。与えてはいけないもの、控えた方がいい食材がいくつかあります。いくつか例をご紹介しますので、以下の食材には注意しながら進めましょう。
- はちみつ:ボツリヌス菌という成分が食中毒を起こす恐れあり。満1歳までは与えないこと。
- 噛みにくい、飲みこみにくい食材:お餅、ナッツ類、こんにゃくなどの食材は離乳食に不向き。
- 刺激のある食材:香辛料など刺激のある食材は離乳食に必要ありません。控えましょう。
- 加工食品:味つけが濃かったり、添加物が使われているため離乳食に不向き。
- アレルギー表示28品目食材:与えていけないわけではないが、赤ちゃんの成長に合わせて進めていきましょう。
アレルギー表示28品目とは?
食物アレルギーの原因物質は実態調査や研究によって適宜見直されていますが、食品表示基準で表示が義務付けられたもの「特定原材料」と通知で表示を推奨されているもの「特定原材料に準ずるもの」があります。
特定原材料(8品目)
卵・乳・小麦・えび・かに・落花生(ピーナッツ)・そば・くるみ
特定原材料に準ずるもの(20品目)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
離乳食初期(5~6ヶ月)の進め方
離乳食初期は、赤ちゃんが初めて食べ物を口にする時期。「食べ物」や「食べる」に慣れることを目指します。新しい食材を試すたびに初めての連続。うまくいかなくて当然です。焦らず、心にゆとりを持って進めていきましょう。
離乳食初期は、なめらかにすりつぶしたペースト状のものから始めます。最初には重湯やおかゆ(つぶしがゆ・10倍粥)の1匙をあげることから始め、1ヶ月をかけて少しずつ量を増やします。おかゆの炭水化物からはじめて、慣れてきたら、じゃがいもやにんじん等の野菜、果物のビタミン・ミネラル類、さらに慣れたら豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄などのたんぱく質へと食品に含まれる栄養の種類を増やしていきます。
離乳食を開始してから1ヶ月が経つ頃には、2回食に進めましょう。2回食が始まったら、午前と午後に1回ずつ離乳食の時間を設けてください。離乳食を食べない理由のひとつに「お腹が空いていない」ということもあるため、1回食と2回食の間隔は、最低4時間空けることをおすすめします。しっかり時間を空けて空腹状態にすることが、スムーズに離乳食を進めるポイントです。
そのほか、離乳食初期の特徴・基礎知識の詳細は下記ページにて記載しています。参考にしてくださいね。
離乳食初期おすすめレシピ・かぼちゃペースト
離乳食初期の初めての野菜におすすめ!自然な甘みが、赤ちゃんの食べたい意欲を高めます。
材料
かぼちゃ | 20g |
湯冷まし | 適量 |
作り方
- 皮と種をとったかぼちゃを蒸す
- 蒸したかぼちゃを裏ごしする
- 湯冷ましでのばす
- スプーンからポタポタっとたれるポタージュ状までのばしたら完成!
離乳食中期(7~8ヶ月)の進め方
離乳食中期は、口をもぐもぐと動かしながら舌を使って食べ物をつぶして食べる時期。「もぐもぐ期」とも言います。生後7ヶ月頃、離乳食を始めてから2ヶ月くらいが経ち、2回食のリズムがついてきた頃が離乳食中期に進める目安です。
今までヨーグルト状だった離乳食をすりつぶしたり、みじん切りなどにすることで、もぐもぐする練習をさせましょう。もし口に入れた途端にべぇと出してしまう場合は、ヨーグルト状に戻したり、ヨーグルト状とすりおろした形状を混ぜて、食べ慣れた形状からゆっくりと1歩ずつ進めることがポイントです。
そのほか、離乳食中期の特徴・基礎知識の詳細は下記ページにて記載しています。参考にしてくださいね。
離乳食中期おすすめレシピ・ツナとキャベツのトロトロ煮
赤ちゃんにとって食べにくい食感の魚を、お出汁の旨みと片栗粉のとろみで食べやすくしたレシピです。
材料
ツナ缶(食塩不使用・ノンオイル) | 10g |
キャベツ | 15g |
和風だし | 100cc |
水溶き片栗粉 | 適量(大さじ1程度用意しておきましょう) |
作り方
- みじん切りにしたキャベツと和風だしを鍋に入れてコトコト煮る
- キャベツがしんなりしてきたらツナを加える
- ある程度加熱したら一度火を止めて水溶き片栗粉を少量入れる
- とろみ具合を見ながらかき混ぜ、もうひと煮立ちさせたら完成!
作る量が多くないので、水溶き片栗粉を一気に入れてしまうとドロドロし過ぎる可能性があります。
少量ずつ加えていき、とろみ具合を調整してくださいね。
離乳食後期(9~11ヶ月)の進め方
離乳食後期は、3回食に進む時期。また「手づかみ食べ」を通して、食べる楽しさを経験してもらいながら、自分で食べたい意欲を大切にしたい時期です。生後9ヶ月を過ぎ、上手にモグモグと口を動かして食べられるようになってきた頃が始める目安。離乳食は、歯茎で潰せる程度の熟したバナナぐらいの柔らかさを意識し、コロコロとしたサイコロ状やスティック状のものを用意して、食べ物を「噛む」練習をさせてあげます。
また、この頃には朝・昼・夕3回の食事のリズムを整えていきましょう。3回目の食事はしっかり消化できるように19時までにすませ、就寝に備えましょう。
そのほか、離乳食後期の特徴・基礎知識の詳細は下記ページにて記載しています。参考にしてくださいね。
離乳食後期おすすめレシピ・そうめんおやき
夏に活躍するそうめん。使いきることなく、1年中ストックがあったりしませんか?
そのそうめんを使ったおすすめの1品をご紹介します。
※このレシピには特定原材料8品目に含まれる食材が使われています
材料
そうめん | 20g |
キャベツ(細切り) | 20g |
卵 | 1個 |
かつお節 | 適量 |
作り方
- 3等分から4等分に細かくしたそうめんを茹でて、しっかり水気をきる
- ボウルに卵をとき、材料を全て混ぜる
- 熱したフライパンに広げて、両面に焼き目がつくまで焼く
- 食べやすい大きさにカットしたら完成!
離乳食完了期(12~18ヶ月)の進め方
1歳を過ぎた頃から、離乳食完了期に入ります。エネルギーの大半を食べ物からとるようになる時期です。離乳食完了期の赤ちゃんは、手づかみ食べやスプーンを使って食べる楽しさを経験していきます。
また、口の動きが大人と同じように自由自在に動かせるようになってくる時期です。ひと口の大きさや、噛む力の調整を学んでいくためにも、様々な食材を経験させてあげましょう。
そのほか、離乳食完了期の特徴・基礎知識の詳細は下記ページにて記載しています。参考にしてくださいね。
離乳食完了期おすすめレシピ・炊飯器で簡単チキンライス
材料をまとめて炊飯器に入れて炊飯スイッチを押すだけの簡単レシピです。
卵が食べられる赤ちゃんは、最後に卵でとじてオムライスにしてもいいですね。
材料
米 | 1合 |
水 | 1合分 |
玉ねぎ(みじん切り) | 30g |
ピーマン(みじん切り) | 30g |
鶏ひき肉 | 50g |
無添加コンソメ | 小さじ1 |
ケチャップ(1歳から使えるタイプ) | 大さじ1 |
作り方
- 米を研いで水を加える
- 他の材料も全て加えて、軽く混ぜ合わせたら普通炊飯のスイッチを入れる
- 炊き上がったら一度かき混ぜる
- しっかり蒸らしたら完成!
【まとめ】離乳食では心にゆとりを!
今回は、赤ちゃんの成長に合わせた離乳食の進め方について解説しました。初期・中期・後期・完了期それぞれの考え方やおすすめレシピ、早見表はあくまで参考程度に。一番大切なのは、赤ちゃんに無理強いをさせないこと、食べることを好きになってもらうことです。赤ちゃんのペースに合わせて、心にゆとりを持って、離乳食を進めてみてくださいね。
【参照】
[*1] 厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイドp29