キッズデザインパークの挑戦。子どもたちが自然に触れるきっかけになる住宅展示場

キッズデザインパークの挑戦
キッズデザインパーク・新潟県新潟市の挑戦
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2008年8月、キッズデザインパークが誕生

2008年8月、愛媛県西条市にこれまでにない新しいタイプの住宅展示場「キッズデザインパーク」がオープンしました。
ただ家を見る人や家を買う人だけの展示場ではなく、絵本の読み聞かせプログラムや地域の食材や食育を楽しく学べるガーデンキッチン、パン焼き窯や燻製窯を設置して料理するプログラム、蝶が舞うバタフライガーデンや鳥の巣箱など、さまざまなキットを設置し、四季の自然や生き物を親子で楽しみながら、子どもたちが自然に触れるきっかけになるように利用して欲しいと考えています。

子どもの自由な発想力や創造力を養うワークショップ

キッズデザインパークで特に力を入れているのは、スタッフと子どもたちとお母さん、お父さんなどとともに行うワークショップです。
ここでは、そのなかから、いくつかを紹介しましょう。


「本物の石に目玉シールを貼って動物を作る」

自然の石はいろいろな形をしています。
その形を何に見立てるかによって、どこに目玉シールを一つ貼るのか二つ貼るのかが決まります。石という無機物に目玉のシールを貼ることで、急に石が生きているかのように見えてくるから不思議です。必ずしも最初からどんな動物にするかを決めなくても、貼ってみたら新しい姿が見えてくることもあるでしょう。

なんでもないモノが目玉シールを貼るだけで、何か別のモノになる、その不思議さ、発見のプロセスがこのプログラムの眼目でしょう。目玉シールを貼った石には、マジックペンで鼻や口などちょっとした線を描きます。実はこれは「仲間をつくる」というプログラムなのです。

子どもはこのシンプルな作業を通して、自分では意識せずに想像力、発想力を存分に発揮していきます。一個の石からいろいろな動物が生まれると知ること、石が何かに変わった瞬間の驚きを味わうことで、創造力が養われるのです。

「かがみの花畑」

かがみの花畑は、万華鏡を使い、キットを組み立てることから始めます。 反射板を組み合わせて万華鏡をつくるのですが、機械的に組み立てるのではなく、鏡を合わせることでモノがどんなふうに見えるかを、子どもたちみんなで推測しながら組み立てます。

万華鏡ができあがったらビオトープに行き、自然観測をし、植物の形や色の話をしながら素材をなかに入れます。 その瞬間に見える不思議な世界に子どもたちはびっくりして、万華鏡を光のほうに向けて、クルクル回転させていきます。しばらくするとさらに素材を足したり、ほかの子どもと万華鏡を交換し合ったりして楽しんでいきます。

このプログラムは、集団での作業からスタートして、最後に一人遊びになります。
スタッフは、そのなかで子どもたちの自主性や好奇心を伸ばせるように配慮しながら手助けを行っています。

こうしたワークショップはどれも、プログラムの導入になるお話から始まり、実際につくるためのちょっとしたトレーニング、外での自然観察と遊び、想い出となる作品づくりの要素が盛り込まれています。
勉強のためではなく、楽しみながら遊びを通じて子どもの感性を育てる手助けをする、その場で終わりではなく、子どもの記憶に残るような何かを持ち帰り、楽しい思い出とともにそれが家のなかに飾られるようにしています。

また、キッズデザインパークで行われているワークショッププログラムは、10歳の子どもを基準につくられていますが、3〜4歳児と一緒に遊ぶことでさらに楽しい時間がつくられるようにも工夫されています。人と自然、人と人とのコミュニケーションが生まれ、年齢に関係なく楽しめ、遊びのなかから発想力が育つプログラムになっているのです。

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